第三話「メイドの受難」

予告通りに、メイドさんピンチ。
特権を乱用する支配階級に召し上げられた少女……というとカムイ伝序盤の悲劇を連想してしまうが、もちろんあんな展開になるはずもないので、そういった意味では安心してみていられる。

 がしかし、この展開はなんだ?
 主人公が無策かつ無能のまま突貫するのは第二話の所業からして予測の範疇であるとはいえ、「本をもってこい」「はい」――じゃあただのお使い小僧ではないか。たちの悪い相手――というか普通の性欲の持ち主――だったら、条件の提示は追い返す口実にすぎず、その間に大変な展開になっていてもおかしくないのではなかろうか? シエスタは、この貴族がたまたま生身の女性でいろいろできる機会より、二次元で女性がいろいろしている写真をとる変態だったから助かっただけかもしれないのである。

 さらにおかしいのは解決法で、結局相手のいうがままである、という点。一矢報いる、という発想はないのか? たかが『平凡パンチ』に、という程度ではカタルシスとは到底いえません。もっとも、ルイーズやキュルケーの権威――というほどものでもないのかな? 彼女らの親の位置はいまいちわからないが、キュルケーへの態度を見る限り、子供にはそれほど重きをおかない社会っぽいし――を借りて勝っても後味はあまりよくない気もする。水戸黄門になっちゃうしね。

 要するに主人公がもっと頭を使うような話と設定にすればいいだけの話なのだが、それは原作の枠組みが邪魔をしているのかもしれない。にしても、主人公はともかく騒いだ、という、毒ガス検地のオウム程度の役にしか立ってないのはちょっと。
 せめて、キュルケーの本を、彼女を上手く懐柔して確保するぐらいの知能が欲しい。

 貴族平民の格差もそうだが、このシリーズ、「主人公にどうにかできること」がやたらめったら少なくて、なにをしてもすぐ壁にぶつかってしまうのは、はたしてわざとなのか計算ミスなのか。
 今後もこういう感じでいくとすると、それこそカムイ伝のように見る側にストレスが溜まりそうだなあ。ルイーズがいる限り「抜け忍」とか「体制崩壊」は無理だしねえ。

 考えられるのは、喋る剣や刻印がらみでパワーアップしてめでたく、特異存在にしてお茶を濁すのが一番ありそうな路線だが、はたして?