第一話「脱獄」

かの「フタコイオルタナティブ」のスタッフによるオリジナルアニメ。つまり、狙いと物語の平仄があえば凄く面白く、外すとありえないレベルまで寒く下らなく詰まらなくなる可能性を秘めている、ということである。

 と、構えてみていたら、ずいぶん普通だったので拍子抜け。

 いささかバタ臭いキャラ立てとはいえ、アンジェリカの登場からテロ、首謀者探し、第三の要素の介入と、B級チックに迷いなく、間然にするところがない。よくもわるくも、突出してないのだ。
 このスタッフらしくないなあ、と思ったわけだが、あるいは、これはいいことなのかな? フタコイの打率でいうと傑作が二話あれば十一話は凡作か愚作なので、両極に走らず、出力の調整ができるようになった可能性もなきにしもあらずである。「十二姉妹」がらみで、「シスプリ」や「双恋」系の企画ものへの嫌味みたいな台詞を言わせるのは、ピカレスクロマンという別の意味でのお約束の塊っぽい話でやるのは、ただの自爆のような気もするし、そもそも、スタッフの自己顕示欲がうっとうしくて、どうにかならないと思うけれど。

 そうそう、ピカレスクロマンといえば、このことは、サブタイトルでわかっていてしかるべきだったのだろうけど、てっきり凄腕の特務官の活躍――つまりアンジェリカの話だと思ってみてたから、ラストでストレスがたまりました。公式サイトを見たら、どう見てもミスター(スタンド使いではない模様)が主役という扱いで、一話限定でアンジェリカが主役であるかのようなミスディレクションを狙ったというのではないみたいなのだが、最後まで見てもアンジェリカのほうがまともに見えるのは、計算通りなのだろうか? 十二姉妹のやった殺戮には無関係とはいえ、呼び水にはなっているし、サンドワームの大海嘯(蟲使いがどこかにいないとあの暴走はないと思うが)で、被害が出ないと考えるのも手前勝手過ぎる。洪水のときに無被害とは思えないしね。公式サイトの予告によると、次から完全にミスター主役になるみたいだが、そのへんでもうすこし主人公らしいキャラ立てをして欲しいところ。悪なら悪で構わないんだが、現段階では、声だけ素敵なむさいおっさんなので。

 しかしミスターと海賊王の娘中心で話が進むとすると、アンジェリカは銭形の役回りになるのか? あるいは仲間に?
 まあ、ミスターのキャラ的に、フタコイ的独りよがり展開はなさそうなので、わりと軽く楽しめる話になりそうである。そのわりの殺戮シーンなんかの描きかたがねちこいのが引っかかりはするのだけど。