第十四話

リョーコ消滅の余波。

 死者の面影を探して町を流離うキョウや、データを必死に探すシズノという対比は、それぞれの受けたダメージの大きさの違いという異常に、彼らの性格の違い――現実に向き合おうとしつつもつい情緒に逃げるキョウと、情緒に飲まれることなく、むしろそれを打開策を探す原動力にするシズノ――をうまく現していて効果的だ。それは同時に、視聴者にその痛みの強さ、喪失の大きさを伝えるものでもあり、けっこうきついものがある。

 ルーシェンとクリスのエピソードはいまいち。なんでも台詞にすればいいってものでもないわけで。

 後半はルーシェンによる世界設定の説明。
 聞けば聞くほど手塚部長こと鏡夜ことシマがナーガの一部のように思えてくるわけだが、これはわざとそう思わせるようにしているのかな?
 彼の人類進化計画の一環として、閉鎖系では不活性になるから、ガルズオルムという外敵を設定して幻体世界の停滞を防ぐ、という、それこそA・C・クラークの活躍したころのSFをおもわせる(というかクラークの作品にもあるネタである)、手垢のついた展開は、もう誰にでも容易に想像できるものなわけだから、逆に考えればこの程度の展開でスタッフが満足しているとは思いにくい。
 もっともかの『マトリックス』は本気でそういうレベルで終わってしまったわけだが……。

 ラスト、あっさりリョーコ復活の予感もでてきてしまうのだった。めでたいことだけど、「量子コンピューター」的に圧縮データというのはありなのだろうか。うーむ。
 単なるバックアップではないから、データ欠損は確実にしてそうだが、だがしかし「バックアップ不可」設定を実質放棄されてしまったような……。あるいは、アークや今回わかった副会長よろしく、「圧縮データ」からの復活は不安定状態でしか再生できない、とかで結局難病ものよろしくじわじわと死んでく展開になるのかもしれないが。

 次回はリセット?