第一話

大地丙太郎の新作。
 この人の作品はその演出力の高さの割りに面白さにはムラがある気がする(脚本構成関係のセンスが合わないのかな)のだけど、池田眞美子が構成ならば安心とけっこう期待してみた。うむ、期待通り。

 いや、キャラクターデザインはあまり好みではないタイプだし、この手の主人公や、男のキャラクターはあんまり得手ではないのだけど、中学生日記とタメをはれそうなべたな展開(声優の演技力もかなり近い)でも、見せ方次第ではちゃんと作品として成立するという、そういう一品であります。ナレーションを多用しつつも含みも持たせ、一人称に近い構成でありながら、あえて視聴者と主人公の「気付いていること(山本さんの姉とヤノの関係)」にズレをもたせてオチと次回への引きに活かすあたり、漫然と作っていたら決して出来ない構成なわけで。まさにドラマチックな面白さがそこにあるのだった。

 あと、主人公のたらたらとした語り(ゼーガペインのリョーコとかノエインのハルカタイプ。つまりほとんど素人)が、物語のテンポとあいまって不思議と心地よいし。同じ監督と構成の『フルーツバスケット』(の25話まで)のような求心力はないかもしれないが、真っ当にして気恥ずかしい青春ドラマがじっくり楽しめそうである。

どうでもいいことだが、ヤノモトハルという名は佐野元春と関係あるのかね? ないか。