第十三話「新たなるウィザード」

なんとこうきたか! っていうかタイトル半分がた嘘じゃん! 新たなるウィザードもういないよ! いろんな意味で! (完全消滅ならもちろん、ウィッチでも) 

 失礼。

 持ち上げて落とすってのは基本だが、これは落としすぎという気もする。リョーコの消滅からエンディングへの流れにはやられましたがしかし、スタッフの「唐突な別れ」を狙いましたってのがすけすぎているというか、性急すぎてダイジェスト版みたいになってしまった印象。喪失というテーマ自体、ちょっと前にアークでやったばかりだしねえ。いちおう、準備段階のある無しという対照はさせているとはいえ、やっぱり不幸の安売りはその重みを失わせる結果になると思う。
 
 そんなこんなで終盤の展開はあまり評価できないのだが、前半のリョーコの無敵キャラばなしはよかった。AIキャラたちのノリっぷり(マッチョに水着になんちゃって高校生にゴスメイド?)とか、前回予告に引き続きの生徒会長のさりげなくカメラに向かってピースするお茶目キャラの打ち出し等、小芝居も冴えている。もう鈍感キョンは脇に回してリョーコ主役で話と作ればいいのにとか思ったりもする。少女漫画でよくある、ピュアなヒロインが閉塞的な環境を打開して、新しい世界にみなを導く――っていうやつですね。

 あいにく、それをするにはリョーコが少年漫画のヒロイン過ぎるかなとも思うけど、キョンが出張るよりはずっとよろしい。ついでだからキョウのキャラも改訂してしまえばいいのだ。

 という妄想ばなしはともかく、はたして今後はどうするのだろうか? 「転送失敗」であって「敵にデータを読み取られた」でないから、敵としてやってくるという方向であっても復活は難しそうだ。
 もっとも「リセット」が可能な世界だから、なんだかんだでバックアップがありそうなので、リセットした世界にリョーコはいるが、この数ヶ月のキョウとのいきさつをおぼえていない、という流れはありかもしれない。シズノとキョウとの関係性の小規模な再現になる、っていう。それをやればやったでアークの話が無意味化しかねないので、方針としては微妙なところだけれども。
 
 でもしかしリョーコのいないゼーガペインゼーガペインじゃないと願望も込めて思うのであった。

 それにしても、「その格好エロい」とまでいわれているにも関わらず、水着や体操着以上に体の――というか下半身ですね、おもに――線が露出するスーツを着て平然としていられるリョーコは実は、キョウちゃんを性的な対象としては見ていなかったのだろうか?