第一話

同人時代から知っているシリーズだが、そちらの好悪はとりあえずおくとして、これはアニメとして駄目だ。
 高村和宏のキャラクターデザインはそれなりだし、坂本真綾も悪くないし、金田朋子もかつてほどうっとうしくないような気がするが、いいところはそこまで。

 最大の癌は脚本。もうこれは断言。
 冒頭の母親の亡霊トークからしてずっこけるが、キャラクターの心情や行動原理を逐一台詞に変換してどうするのかね。ラジオドラマじゃないんだから。見た感じ台詞は半分どころか五分の一ぐらいにまで削れそうだ。無言劇でもかなり成立しそうでもある。
 ほぼ同じようなコンセプトだった『びんちょうたん』なんかは台詞はほとんどなくても平気だったしね。

 設定や物語の進行がご都合の塊なのは、テーマ的にある程度は仕方ないが(善意の世界の話だからね。すこし意地悪な言い方をすれば、貧乏は「健気」萌えのための舞台設定に過ぎないから。)、進行とは関係のない細部の抑えが粗雑だと、全体が安っぽくなります。背景の駄目な『ARIA』とかを想像してみましょう。この話でいうと、母親の形見の浴衣着て埃だらけの倉庫を探し回るとかありえない。(念の為原作をチェックしてみたら、ちゃんと普段着で探していた。つまりアニメオリジナルであほなことをやらせているわけ。)

 母親の亡霊が見守っているっていうコンセプトも変。アリアのアイちゃんの手紙以上に変。言っている内容はくどすぎるし、そもそも、姉妹がふたりで暮らし、二人だけで頑張っているという基本の部分をぐらつかせている。

 演出も疑問。貧乏にめげない姉妹が健気にすごす日常、がテーマの話にしては、大げさな見せ方をしすぎじゃないか? いちいち光ったり風が吹いたり、そういう話じゃないだろう。

 貧乏アニメ化物語、というところでおあとがよろしいようで。
 次回は見るかどうか……