第三話

妹馬鹿のオボロの涙に気づくユズハ、そこでオボロの肩をつかんで無言でメッセージを送るハクロオ、ハクロオの言わんとすることを理解して涙を一度は堪えるが結局堪えきれないオボロ。
 ドラマの成否っていうのはこういうシーンを無理なく描けるか、その心情を伝えられるかにかかっているのではと思う。
 なんでもかんでも台詞で説明したり、オーバーアクトに走らせたりしないで、見るものの気持ちを登場人物たちの気持ちとするっと同調させられるかどうか。オボロ関連は叫んだりする場面は基本的にオーバーアクトでいまいちなのだが、前出のシーンの出来のよさであとは見なかったことにしたい感じである。詰めが甘いというか、ちょっとむらがあるなあ、という気はするが。
 内容的には、新章というか本格的な話の序章的な一編。平和主義っぽい京田尚子は陰で軍隊を組織しているという設定。オボロにユズハに空集合ふうマークの額当てをつけた双子。と、いい案配に世界と人間関係をひろげています。
 が、しかし、一昔前のインチキヒロイックファンタジーから抜け出てきたような男は、まるで一昔前のインチキヒロイックファンタジーから抜け出てきたようにベタな主人公のライバルキャラになるに違いないし、悪代官は顔にやられ役であるとかいてあっても誰も違和感を覚えないぐらいの投げやりなデザインだしと、エロゲー原作の宿命というか、どうでもいいところは本当にどうでもよくつくってしまうノリを払底できてないのが悲しい。
 原作ファンはああいうキャラですら変えて欲しくないのかもしれないが、この辺の不徹底がこの手のアニメがマイナー村から抜け出せない要因になっているんじゃないかねえ。勿体ないことである。