第九話まで

いよいよ、平助たちと袂を分かつところ。
その直接の動機である御陵衛士設立の首謀者である伊東がいかにも雑魚っぽいオカマキャラ(オカマだから雑魚といってるわけではない。かっこいいオカマキャラはたくさんいる。ボンちゃんとか)なのはどうかと思うが、まあこのアニメ的には雑魚キャラっぽいので、仕方ないのだろう。

とまれ、ワンクールでこのまま一気に五稜郭まで行きそうな高速進行で、せっかくキャラが立ってきたのにもったいないという気もするし、男の中に女一匹というおいしいシチュエーションをいまいち活かせてないのも、宝の持ち腐れ感がある。新選組隊士総出演の乳首健康診断ぐらいでは、サービスとはいえないのではなかろうか。だいたい男の健康診断をするなら、千鶴の検診もすべきである。現在と違い、当時はまだ乳房の露出に羞恥心をかんじる女性はいなかったようだから、なんなら男と混じって検診してもよかったのである。ああもったいない。

まあそれともかく、もったいないといえば千鶴の秘密の露見の仕方のあっさり加減ももったいない。この辺がちっともドラマチックにならないのは、進行の速さだけに問題があるのではなく、要所要所でもっときっちり入れておくべき、千鶴と隊士たちとの交流イベントをおざなりにしてきたせいだろう。九話の見せ場である斉藤や平助との離別の場面の弱さも同じ原因によるもので、ふたりともこれで最後の出番ではないにせよ(平助はもしかすると次回が最後? 闇の眷属化しなければ、だが)、ここは桜舞い散るなかで、目の前の離別とともに、来るべき崩壊劇を予感させる、美と儚さと哀愁がない混ぜになった印象的な場面になったのではないかと思わせるのだが、もうひとつのりきれない。ああもったいない。

さて、次回はより本格的に悲劇が前面に出るはずだが、果たして?