第九話

 海で、水着で、遭難で、小屋で二人きり……。『Angel Beats!』でもそうだったけど、短いスパンで既視感をおぼえさせる展開をもってくるのが流行ってるのだろうか? あちらはともかく、こちらはストーリーの整合性とかはどうでもいい(あちらもじつは整合性なんてどうでもいいという説もあるがそれは置く)のだから、いくらでもかぶらないイベントを持ってこられるはずなのに。
 というか、整合性がどうでもいいからこそ、かぶろうがかぶるまいがどうでもいい、ということなのかもしれない。
 シナリオの狙いとしては今回はネタよりも正調ラブコメでいこうとした感じで、文乃が主人公と遭難してふたりきりになったときの、男の絶対襲わない宣言にキレる展開なんかは、今まできちんとキャラクターの関係性を積み重ねてきた作品だったら、複雑な女心をうまく描いた場面……なんて、もしかしたら言われたかもしれないけれど、残念ながらそういう心理描写の蓄積のある作品ではないので、ひたすら「面倒な女」になってしまってるのが、いろいろな意味で気の毒である。
 今回の話でよくわかるのは、このシリーズにシリアスはつくづく似合わない、ということ。序盤の孤児がどうのというのが寒々しかったのは、各話ごとに監督が変るがゆえの腰の落ち着かなさなんていう表面的な問題ではなかったのだろう。設定もキャラクターも、いってみれば素面じゃやってられないものなのだ。

だからほら、いつもラリっているようなレールガンメイドコンビの次回予告は、毎回毎回光り輝いているわけである。