第八話「迷い猫、抜いた」

『咲―saki―』の小野学が監督なので卓上ゲームネタ、なのか、卓上ゲームネタをやろうと思ったから小野学を起用したのかはわからないが、ともあれ麻雀アニメ風演出によるジェンガアニメ。
 これは意外に面白かった。前回なんかと違ってちゃんとキャラクターに、ゲームへ参加する動機があり、その動機にしたがってゲームが推移し、結末を迎える。
 ようするに、ごくごく平凡なプロットであったわけだが、このシリーズにおいて平凡は、砂漠にオアシスである。
ゲームシーンの面白さという意味でも、それこそ『咲』よりまともだったのではなかろうか。ジェンガが、麻雀よりもよっぽど視覚的にもルール的にもわかりやすいし、個人の超能力というレベルを超えているとしか思えない世界改変能力(単に確率を操作するとかではなく、確率上起きないこと――つまり絶対起きないってことだ――が起きるとか、「すでに」配置されている牌が最新のゲーム展開にあわせて、最初からそうであったように再配列されるとかは因果律レベルの侵犯が起きているとしかおもえない)が乱舞していた麻雀アニメより、お金持ちの超科学によるインチキであるというほうがだいぶ説得力があるし、そのインチキがゲーム進行上の重要なギミックになっていくあたりもまったく持って普通の面白さである。くどいようだが、普通はこのアニメでは(以下略)。

しかし、なんかあれですね、キャラものの連載漫画でネタが尽きると既存のジャンルイベントを総攫えしていくことがよくあるけれど、このシリーズは別ネタが尽きたわけでも原作のストックがないわけでもないのに、積極的に末期症状をおもわせる展開に突撃しているのは、非常にアヴァンギャルドな試みといえる。
まあ、たんに、原作をアレンジしたり、まともにキャラクターや舞台設定を運用して堅実なドラマを作るのが面倒だから、ということだったするのかもしれないが……。