塚本晋也『鉄男THE BULLET MAN』

映画というよりは塚本と石川忠によるデアアイゼンロストのPVのような趣。
会場には客は二十名ぐらい。日曜の朝、立川シネマツー。
話は単純。キャラも単純。とくに監督演じる「ヤツ」のキャラが弱い。台詞に説明させなくても充分顔が雄弁だ。説明することでむしろ説得力がなくなってしまっている。
特撮はチープ。往年の東宝怪奇映画のようだが、それがむしろいい味。これがいまどきのCGであったら、あの質感は無理だろうし、ただのグロ映画になってしまったことだろう。東京は灰燼に帰してもよかった気もする。すべてを破壊し尽くした先に、家族を求めた男が何を得られるか? そういうほうが面白かったかもしれない。
爆音上映は心地よいが、ほんもののアイゼンロストのライブを聞いていると、この大きさではいささか小さい。もう二目盛り上げてもよかった。死者は多分出ない。
一番感動したのはタイトルがでるところのMTV的な圧迫感(音がね)。