第八話「ハジマリ」

というタイトルの最終回。といってもおかしくない話。しかもシゴフミが物語の進行に完全に関係なく、これではただの生霊の復讐譚という点も、ハジマリというよりはオワリである。。

 それでなくとも、冒頭のフミカの描写の時点で、もういろいろな意味で終わってるわけだが。
たとえば、多重人格者の本人格が作り出した人格としゃべってる、とか(本人格は、作り出した人格のことを知らないのが普通)、そもそもからして、この病気が発見されてから「二重人格」というのがない、とか。
 見方を変えれば、これが一見児童虐待をモチーフにしたシリアスなテーマを取り扱ってるようにみえても、根本のところでライターはちゃんと調べておらず、聞きかじったそれっぽいネタを都合よく自分のプロットにはめ込んだだけであるということの、わかりやすい表明であるので、ギリギリまでその理由の開示をひっぱった自殺の話なんかよりはずっと良心的な構成である、ということは可能ではある。かといって、それで話が面白くなるかというと――つまり、ファンタジーであると了承してしまえば面白くなる話かというと、そうではないのが哀しいところで、結局、いくら演出や小山力也ががんばっても(児童画が動くところは面白かった)、フミカの話は、スティーブンソンが着想して以降、伝染病のように広まったフィクションとしての二重人格ネタを使った底の浅い絵解きでしかなく、キラメキにしても実は死んでたけど気づかなかった、ぐらいのケレンを使えばまだしも、チープな「天才芸術家」、チープな「児童虐待者」、チープな「愛に飢えた狂人」と、どちらをむいてもチープにぶち当たり、解決策まで「強い母が駄目な子を叱る」で、もはやため息しかでない。

 次回、オンセン。わかりやすい客寄せですね。