第五話

 作画が悪いのが、作品の不気味さに拍車をかけている。冒頭のアニメスピリッツの絵とか眼がぐにょーんと上に長く細く伸びててもはやホラー、カヤコの落書きのようだし、回想編のヒロインズは目が尋常でなくでかくて昆虫の類になっている。
 話も怖い。いじめの理由をもうまったく問いたださない主人公。黙認ってことですか?
キャラも怖い。『乱』のころの仲代達也を失敗してしまったようなうつろな瞳のおじいさんの目的が、日本の政治の中枢に入り込むことであるあたり、ほとんど妄想の世界である。
反面、ヒロインに限っていえば、この人の登場によって救われたといえるところもある。悪い人の野望の片棒を担いでるというより、なかば呆けちゃって妄想と現実の判断がつかなくなったおじいちゃんのためにがんばって話をあわせているのだ、と考えれば、それほどいやなやつとはいえない可能性がでてきたからだ。それがヒロインらしい行動かという問題はさておくとして。
自称天使だかなんだかの、主人公にしか見えないっぽいひとはヒジョーに足がながいことが判明。少なくても主人公の上半身より股下が長いのだ。足のないお化けというのは数知れないが、足の長いお化けというのはそこそこレアである気がする
突然アグレッシヴになる主人公も怖い。原因も突き止めないで、やめろやめろといって解決するという思い込みも怖い。それでなんか解決したことになってしまう展開はもう怖いなんてものではなく、もはや不条理劇の世界でありました。

ただし、構造的に鳴りそうにない薬缶がピーピー鳴るのはもしかしたら一番の恐怖ポイントだったのかも知れないが、これはかえって怖くなかったです。