第四話「狼と商才」

 ホロが賢いというか、ロレンスが青すぎるというかの都編スタート。前回からの引きである貨幣関係のネタが細かいが、中世後半〜近世前半風のビジュアル(遅くても産業革命以前だろう)っぽいのにもうすでに銀本位ではないのかとか、うろ覚えと聞きかじりでしかない浅い知識で違和感を覚えてみたりする。もしかすると、当時でもこういう銀貨関係の話があったのかもしれないし、そもそも異世界ファンタジーだからその辺は作者の采配であとは作品内で破綻なく構築されていればいいともい。あ、なんかこのシリーズの記事は不確かな知識に基づく不確かな考察ばかりだな。それ以外にも、林檎の匂いのする毛皮、なんてのにあっさり騙されるプロの承認がいるかとかも気にならないこともないが、まあいいや。細かいことがいいたくなるのはたいてい、細かいところまで作ろうとする心意気が見えるからなわけだし、殊この作品に関しては、心意気だけでなく、きちんと作られている(ようにみえる)ものだから、こちらの要求のハードルもそれにつれてさらに高くなっている、というだけの話なのだ。
 お話はこれからしばらく貨幣問題で行くのか、次回あたりでひとまずまとめるのか知らないが、前回もちょっと触れた魔法使いが出てくるまでは作品全体の方向性はわからないかんじ。いつまでもロレンスの浅知恵とホロの賢狼ぶりの対比だけで話をつくるわけにもいかないだろうが、いぬかみよろしく悪い奴を大狼化してお仕置きというわけにもいかないだろうし、普通の人間が普通のまま活躍できるファンタジーの行く末というのはなかなか興味深いところではある。普通にラブコメへ走ったりして。