第三回「どうなった? こないだの話」

 電波度がアップするメインヒロイン、ますます意固地に自爆しまくる名塚ヒロイン、すこし自覚症状が出てきて、いい気になりつつも状況の深刻さ(というか困難さ)に呆然とする主人公、そしてそろそろ動き出しそうな今川焼屋――と、事態は徐々にヒートアップ。当事者にはちょっとなりたくないが、傍で見ているぶんにはじつに楽しい「青春」ぶりである。物分りよさげだが、実際は家族のことをあんまり見てなさそうな藤原パパといろいろ複雑な思いを秘めたネヴィリル様のやりとりも味わい深い。メインキャラだけでなく、サブキャラたち、さらには背景のモブにもきちんと演技をさせるコンテ(とたぶん、脚本も)の細心さもいい。もっとも、今川焼屋での「その後の彼女の姿を見たものはいない」的な出崎止めカットは、細心というよりは慢心というか、いまいちなにを伝えたいのが図りかねる、独りよがりなだけになっていたが。

物語をはじめとして、キャラクターデザインにも設定にもアニメ的な記号性が少ないから、実写にしたらどうだろう、とか思ったりもするが、おそらくそうすると、イスルギノエのキャラクターの非現実感を生身の肉体で引き受けられる役者さんがなかなか(あるいは、永久に)見つからないだろうなとも思う。下校するときのふわふわと帰る感じとか、アニにヘルメットをかぶせてもらうときの雛鳥的なポーズとか特に。そういう意味では、正しくアニメ的なアニメといえる。

 そういえば、主人公を「坊ちゃん」という一休さん的同級生は、毎回でてるぐらいだから本筋に関わってくるのだろうけど、少女漫画なんかだと性的な意味合いで関わってくるポジションですよね。