第十二話まで

優等生タイプの幼馴染のヒロイン、血もつながってないのにおにいちゃんと呼びたがる巫女さん、超強力な魔法使いだけど主人公まっしぐらな高橋美佳子、そうそうたる面々を従えて、片目になんか憑いてる優男(でも心根はまっすぐ)な主人公が、最後にばっちり決める! という、仮にアニメオリジナルであっても、これは原作は富士見ファンタジア文庫あたりでは、と考えてしまうと思えるぐらいにライトノベルな雰囲気横溢の一品。
 キャラクターデザインもメインプロットも別に似てないどころか出自すら異なる『ナイトウィザード』と印象が被るのが不思議といえば不思議だが、ライトノベル的な物語フォーマット(言ってみればそれは、十代に一番支持されると作り手が考えている枠組、ということなのだが)への依存の度合いが近しいことがそんな錯覚を生む理由になっているのだろう。
 それにしても、もったいない。異種魔法格闘戦開始、などという物々しい惹句の割には、やってることはよくあるミッションクリア系のプロット。売りのはずの「異種魔法格闘」というのも、それぞれの術者の所属する世界の違いというのでなく、「得意技の違い」みたいなレベルでしか表現されてない。ゲームが原作なのにライトノベルのようなナイトウィザードとはそのてんでは逆で、こちらはライトノベルが原作なのに発想がゲームのようだ。ケルト魔術もソロモン王の力もどちらも使い手のレベルとヒットポイントの大小で威力が決まります、というような。
話のほうも、序盤意味不明に時系列が交錯してた(あえてこじつけると、各エピソードで主役を張る登場人物の重要度の順?)ことを除くと、後は凡庸としか言いようがない題材と展開だらけ。魔術用語だのなんだのと設定考証に凝っているふうなのに、幽霊が温泉に入ってたり着替えを頻繁にしてたり、巫女の服が変なスリットとスパッツ装備だったりと、なんだかよくわからない。キャラも植田佳奈は蛍に絡まないみかんだし、高橋美佳子も、恐ろしいぐらいお約束のツンデレキャラだし(『風のスティグマ』にも似たようなキャラがいたような……)、釘宮理恵釘宮理恵だし、名塚香織は名塚香織なのだ。
 でも不思議と嫌いになれない作品でもある。とても気楽に見られるのがその理由である。そう、これは一種のヒーリングアニメなのかもしれない。