第四話「新星は東雲の空に煌く…(後編)」

 ファイアスターター編の後編。特にひねりもなく、普通に悲劇で終わることはべつにいいのだが、愛する娘を化け物にしてしまったおっさんの話としても、普通の子供として育っていきたかったの化け物になってしまった娘の話としても、掘り下げが足りないのはよろしくない。「黒」の誰にもコミットしない姿勢を、作り手まで真似する必要はないのである。むしろ、黒を感情を露わにしない定点として位置させたのならば、それ以外は普通にドラマチックに作ったほうが、黒の存在感も上がるし、悲劇も印象付けられるしで、一挙両得なのだが(というか、そもそもハードボイルドと呼ばれるジャンルに顕著な客観性の高い主人公というのは、作中のドラマを浮き彫りにするために、生み出されたのである)。
 場面としては、クラスメイトを燃やしてしまうシーンがよかったのだが、黒的スタンスが邪魔をしなければ――もっと鮮烈で痛ましい場面になったのでは、と思わないでもない。
 あと、クライマックスの戦闘が、どうにも地味で煮え切らないもどうかと思う。溜めたまま、不発に終わられてもねえ。もっとも、作り手にしてみれば、溜めたのではなくて地に足のついたアクションだ、とか思っているのかもしれないが、黒いコートに仮面を被って戦うカッコマンの話に、地に足も何もないのである。
 変なカッコつけが、作品のポテンシャルを殺しているようで、なんとももったいない。
 
もったいないといえば、警察サイドが、またも周囲でうろちょろしているだけだったことももったいない。後半戦のために温存しているのかもしれないが、ここであまり無能チームと印象付けてしまうと、後々結局使いづらくなってしまう気がする。

 次回はロシア産の敵が魔界都市に来るのか。イギリスからダークバロンが来る日も近い?