第三話

同居編その二。っていうか、ずっと同居するのかな。

 ヒロインが機械をどんどん壊すとか、幼馴染がやってきてヒロインを隠そうとして結局ばれるとか二人の関係を探ろうとするとか……おそろしいぐらいお約束なイベントが連打。
 が、ベタではあるが、まあ嫌味はないし、マンネリものならではの居心地のよさ――ある種の思考停止モードの誘発ともいう――はある。

 幼馴染が作るのが肉じゃがである、とかも、これまたおそろしいぐらいお約束ではあるが、考えてみると、中高生が作れるお惣菜としては簡単かつ確実においしく作れるものだし、実際のところ結構リアルな話であるのかもしれない(平日の朝食に鍋物をだす、自称料理通の狂人どもが群れつどうどこかのアニメとは違う、という話ですね)。年齢的には老婆といってもおかしくない能登眞美子キャラが、社会常識皆無なのは、「リアル」とは程遠いが、そちら方面はお約束として見過ごすとしましょう。

話として無視できそうにないのは、「夜禍人」というのがどれくらい吸血鬼なのかということで、ただ太陽の下に出られない不死者というだけで話としてパンチが足りないし、その呼び名とトマト汁粉を飲ませていたところからして、なにかとてもネガティブなリスクがあるはずなのだが、藤原吸血鬼ハンター組との絡みも含めて、どうやって展開していくつもりなのかさっぱりわからない。しばらくはラブコメで、途中から「真実」が見えてきてシリアスかという流れか? 

わからないといえば、複数のルート分岐用のような、沢山のキャラクターの収拾(姉とかちっちゃいのとか)もどれくらいつくのか、わかりませんが。

そういえば、そもそも夜禍人に「空の素晴らしさ」を教えたのは人間(ないし、人間の書いた絵とか写真とか文章とか)のはずだが、そのことが作中で言及されることがあるのかしら。
 「私にこの話をしてくれた人は、夜禍人の協力者といわれて殺された」というような不幸な過去ネタの格好な材料ではあるし、下着を全部洗っているときの「秘密」とちがって、はっきりと明かしてもなにも問題のない話ではあるけども、作り手の興味はどうも純粋に「空を見ることができない」という一点にあるようにみえるので、彼女の生い立ちともども全てうやむやのまま終了してもおかしくない気もするのである。

 まあ、面倒なときは、菊地秀行の吸血鬼ハンターシリーズの「貴族の太陽への渇望」と同じく「本能です」で済ませてしまえばいい話ではあるので、あまりこちらで気を回す必要のない話であるかもしれない。でも、せっかくのあまり血の匂いのしない不死者なんだから、自然な長命者らしさを――生きてきた歴史の長さを――見せてほしいところではある。