第一話

 患者が最初からどこに問題があるかを申告してくれて、医者がそれをさも自分が探し出したような顔で勝ち誇っているような、そんな変わったカウンセリングが売りのギャルゲー生まれのアニメ。

 ギャルゲーエロゲーボーイズゲー出自作の打率の低さを鑑みてもなお、この手のものを否定する気にはならないのだけど、これはちょっときつい。

 冒頭の、ヒロインが下着で寝ているとかは、よくある掴み芸なので、うるさいことはいわないが、寮仲間の「起き抜けから青春の暴走が青い」とかなんとかいう台詞に代表されるようなへたくそな小劇場芝居ふう台詞まわしにぞわっとなる。

 定番づくしと見せかけてあえていろいろずらしていくという、一種のパロディをやるつもりなのかなとも思っていたのだが、冒頭でまとめたやりとりの場面の演出をみる限り、どうも作っているほうは本気っぽい。熱血は馬鹿っぽいがそれこそが正しい行いなのだ、というような。

 そういうテーゼそのものは別にいい。
 ただし、それはまともなキャラクターやまともな会話が出来てこそである。

 お互いに台本を読んでやりとりをしているような、インチキくさいやりとり。予定調和どころか、最初から調和している。
 それはさながら、通販番組の実演シーンか、変な宗教や文部科学省あたりのPR演劇のようだ(いずれ「ぼくたちは、美しい寮を作るんだ!」「そうだね、私たちには創りたい寮があるよね」とかいうやりとりが出てきても、ぜんぜんおかしくないね)。
 
 とはいえ、それなりにインパクトがあることは確かだし、このように第一話で全体の方向性を予感させられる、というのは、ある意味では理想的な構成と言えるけど、こういう方向性、作品を望んでいる人が全世界トータルでみても、製作者が期待するだけの数がいるのかとても怪しいものなので、これはむしろ隠したほうがよかった気もしないでもない。

 もう手遅れだけど。

 どうせならもっと勘違いして、もっとへんな方向に言ってくれると面白いかも。