第二十二話「ときめきの新年」

ドキドキを通り越して心臓バクバクの新年。
とくに、天宮さんとつかさが無言で座っているシークエンスは、その辺のサイコサスペンスでもめったに見られない恐怖シーンである。あの瞬間の陸くんと替わりたい人間はまずいないよね。横で見ているぶんにはまあ面白いんだけど(人の不幸は蜜の味、とはよく言ったものだ)。

割合すぐに自分のペースを取り戻すつかさ&弥生に比べて、純情ハイテンションモードが止まらない天宮さんの描写が楽しい。第一話以来の携帯の番号ネタは、もしかしたらあの部屋の入るエピソードで勝手に番号を打ち込むぐらいの強行策に及ぶかと思ったが、まだまだ理性が働くのであった(たんに次回以降で携帯ネタを使うために、視聴者の記憶を喚起することも兼ねた、フェイントだったということもできる)。その寝室の本がどれも異常に大きいのはまあご愛嬌。あれはなんだ、画集か? 世界大百科事典か?

お話としては、陸くんの寝室からスタートして、ダイニング、庭、そして神社へと、部隊が開放的なところ平行していくごとに、ムードも和やかになっていって、さわやかに終わる、という流れがしプルながら効果的で、サブのひよこがらみも絶好調。つかさが気がついたらまともな料理法をちゃんとマスターしていた、というのもなごむ(体育祭で犠牲者を出したあと反省して、きちんと先生のところに通ったという感じだろうか)。バトミントンで「いつもスポーツをしている人にはかなわない」と天宮さんがさわやかに言うときそこに「筋肉馬鹿と張り合ってもしょうがない」とか「運動しかとりえがない人にはここで花を持たせてあげてもいいよね」とかそういう心の声が聞こえたような気がしたのは錯覚であろう。

あと、先週からわかっていたとおり、作画がなにやら別のアニメ状態だったが、この妙にルーズな雰囲気(髪型とかね)も、これはこれでわるくない。ちょっと外伝のような雰囲気でもありますが。

次回予告のトークはチョコレートネタにふさわしく、ブラックでビター。天宮さんってやっぱり、いちばん黒いのか。はたまた黒く見えてしまう天然さんなのか。あるいは天然で黒いのか。

そういえば、三馬鹿の「フェスタ」が大晦日だったということは、このアニメは二千六年から二千七年にかけての話なのですね。