第八話「お母さんのスカート」

 冒頭からもう見たくないのであった。これから何が起きるのかわかっているからというだけでなく、ファンティーヌの暗い表情でもう駄目で、その後、花がしおれるように、見る見るうちにやつれていくファンティーヌを見るのは拷問みたいなものである。とくに、例によってたくましいコゼットパートが終わった直後の激変は心臓に悪いです。
 この辺は原作における「虐げられた人々」を凝縮して描くパートなだけに悲惨になるのもわかるのだが、でもやっぱりこれはきつい。
というか、これでも原作よりは悲劇を緩和されているわけで。
 たとえば、ファンティーヌを追い出した行員さんたちの罪悪感を感じているようなちょっとしたやりとりや、パンをくれようとする人の善意、などがその努力の現われなのだが、しかし、それは焼け石に水、いやむしろ火に油。悲惨さはいや増します。
これで原作どおりのファンティーヌの「お金を稼ぐための文字通り身を捨てた努力」の残りふたつをやっていたらどうなっていたことやら。いや放映できないか。原作では(読みたい方だけどうぞ)歯を抜いて売る、春をひさぐ(アニメでの「花を売る」はこれのメタファー?)なので。
 
 唯一、アランたちがファンティーヌ救出に向かう展開がすこしだけ前倒しになっているのがドラマ的には救いといえないこともない。まあ今回は途中で終わるので思いっきりいらいらするわけですが。

これはやっぱり原作と同じ気分で、何十話かどかっとまとめて見るべきなんだろうか?