第十七・五話「仮面の真実」

ルルーシュ「というわけで、諸君、またも総集編であり、書くことがないというので、我等の当番となった。長ったらしいから、気に入らないものは速やかに次項に移りたまえ」
C.C.「相変わらず、失礼な奴だな。しかしまたもこの形式か」
ルル「そうだ、何か不満か」
CC「お前がべらべら喋っているのを聞くのは、本編だけでも充分なのではないかと思ってな。尤も、妾はこうやって喋っている間、好きなだけピザを食べて居れば良いのだから、嬉しく無いと言ったら嘘に為るが」
ルル「太るぞ」
CC「気に病むな、妾と汝等では事情が全く異なるのだ。妾は幾ら胃に入れても肥える事は無い。財布の中身は減るがな」
ルル「そういえば、ずっと不思議だったのだが、あの金はどこから出ているんだ?」
CC「妾が金満家に見えるのか?」
ルル「見えないな。む! ということはつまり……!?」
CC「他に如何云う選択肢があると思って居たのだ? 案ずるな、お前の預金はまだまだ充分残って居るさ。其れこそピザならあと三十年は注文できるだろう」
ルル「作中で全く説明されてないことを当たり前のように語るんじゃない! だいたい、俺の金だ!」
CC「『俺とナナリーの金』ではないのか?」
ルル「ああそうだ。そんなことは決まっている」
CC「沿うかな? 今回の総集編を見るかぎりだと、ナナリーとスザクの重要度がほぼ等価で有る様に見えたのだが?」
ルル「なに、それは、今回の回想の方針上、そう見えるだけにすぎない。今回はただの総集編ではないんだよ、シーツー。あれは、無二の友が最大の敵であったことに、巣穴に戻ったら狼に待伏せされていた兎のように動揺したこの俺が、必死で過去を再検証し事態の打開策を探し出す過程を描き出したものなのだ。制作上の都合であるとか視聴率アップを狙っての新規開拓作戦というばかりではない、必然ではないにせよ、無意味でもない、そういうエピソードなのだ」
CC「成程、道理で、第三者も目から見ると羞恥プレイで如かない様な黒の騎士団宣言を長々とやったり、明らかに偶然に助けられただけの愚策であるオレンジ作戦をクローズアップして見せたりした訳だ。名場面を編集する狙いが在るならば、あの様には為らぬものな」
ルル「……」
CC「時に、『小学生の日』とはなんだ?」
ルル「俺がそんなことを言ったか? 憶えていないが、おそらく誰かが、いずれ作られるであろうCDドラマとかDVD特典で発売される内容のささやかで姑息な宣伝をねじこんだのだろう。そんなことは最近のアニメでは、よくあることだろう。記憶にないので、断言はしないがな」
CC「ははあ、ギアスを掛けられて、喋らされたのかも知れないな」
ルル「……」
CC「ところで、ルルーシュ、気づいているか?」
ルル「なんだ?」
CC「お前は自分の生き方とスザクの生き方を、対比して回想したな? 云ってみれば、スザクは真摯に王道を目指すもので、お前は修羅の道を行くことも辞さない、と」
ルル「そのとおりだ。だから俺たちは戦わなければならないのだ」
CC「だがしかし、お前たち二人は、実際の処、非常に良く似ているぞ。お前達はどちらも過去に囚われ、理想論から離れられずに生きている。スザクの道は王道と言うには歪み過ぎているし、お前の道は修羅の道と言う程厳しく無い。其れが判らない様では、お前たちの戦いに決着がつくことはおろか、戦いが始まりすらしないだろう。無意味な激突があるだけだ」
ルル「……」
CC「答えに窮したか。気にするな。これを書いている人間も、こんな内容で今日の感想を書くつもりは全く無くて、どう纏めようか困っている位なのだ。当初の予定では、このタイミングで総集編というのは、ちょうど早寝が出来てドリームガールズの初日一回を見に行けるから非常にありがたい企画だな、とか、CMの「全力で買え」とか「全力で応募しろ」とか其れが面白いと思ってるのは視聴者には一人も居ないだろう、とかそういう極お気楽な内容で済ますつもりだったのだよ」
ルル「じゃあそうすればよかったじゃないか」
CC「其処は其れ……ということだな。弾みが付いたら止まらない、ということは良く有る事さ」
ルル「では俺から聞きたいことがある」
CC「なんだ」
ルル「それで結局、この感想を書いている奴は初日にドリームガールズは見に行ったのか?」
CC「いいや、その日は午前中はずっと寝ていたようだな」
ルル「じゃあ、このアニメが総集編であったこととは何の関係もないではないか!」
CC「なに気にするな。何時れ本館に載るだろう映画の感想記事のささやかで姑息な宣伝に過ぎないさ。ところで」
ルル「なんだ」
CC「本編ラストでは自信たっぷりだったが、次回予告では気弱なのは何故だ?」
ルル「全力で気にするな!」
CC「……」