第十六話「悪女志願」

 ひさびさにオーソドックスな地獄流しイベントがありましたが、話のほうは結構変則的。藁人形モードでも独白が出来て、しかも積極的に依頼人に肩入れしているとか、一旦依頼がリセットされてターゲットがかわるとか。もはや普通の地獄少女形式、というのはないのかもしれない。
 その第一のターゲットの藤原啓治、第二のターゲットのおばさんとかなりベタな小悪党で、依頼者もそれほど同情できるタイプではない半ば自業自得的なキャラと、ドラマ的にはかなり弱いのだが、話の核は事件そのものではなく、その事件に入れ込む骨女の内面にあるので、それでいいのだろう。骨女がそんなに彼女に入れ込んでいるのか、を徐々に見せていくところに今回の核心があるのである。すなわち、純情ゆえに男に騙されて命を落とした骨女の過去を間接的に描いているのだった。
 もっとも、それにしてもうすあじで、たとえば輪入道の話ほどにもインパクトにかけるのが惜しいところではある(骨女の話としてはあの「曽根アンナ」の回のほうがはるかに出来は良い)。
 でも、ほとんどこじつけ的な意味合いしかないあいの牛若丸コスプレとか一目連輪入道新撰組コスプレとか、ひさびさの見栄きり前のカットのかっこよさとか、演出的にはそう悪くない出来で、なかでも最後のヒロインが眼を開いたまま死んでいるカットの痛ましさは、じわじわと聞いてくる衝撃力を持っていた。

 次回は一目連の話。依頼を受ける会話がなかったが一体、どういう構成になるんだろう?