第一話

 フタコイオルタナティヴ、コヨーテラグタイムショーと序盤を抜けてからの迷走と失墜が印象的なシリーズを作ったスタッフによる新作。

 しかしこれは序盤なのに失墜しているぞ。
 転校生が天然鈍感トラブルメーカーで、彼女が巻き起こす騒動で学校が変わっていく、というアナーキーなようでいておそらく恐ろしく保守的な倫理観をばら撒きそうな作品の基調がまず微妙だ。こういうのが現実にいたらいやだろうなと思うだけでなく、『苺ましまろ』の美羽にしか見えないのがとてもまずい気がします。あのキャラは、知佳も煙草のみのお姉さんとかきちんと突っ込みを入れられるキャラが存在して初めて、存在を許されるのではなかろうか。いてもうっとうしいのに、だ。野中藍や体育会系の人のキャラがそういう役割を担えるかどうか非常に怪しいのである。というか、今回のラストからすると、位置づけ的には、やること為すこと最終的にはすべて肯定されそうで怖い。一度聴いた唄を覚えていたのは天才とかそういうことでいいとしても、校歌を歌ったからって、生徒会長と承認されても困るのだ。瑞樹ちゃんだってもエルダーになるにはもう少しカリスマ性を発揮したぞ。

 アニメとしても、出来は微妙。作画の質は高そうだが、見ていてどうにも気持ち悪い。そもそもお前らは本当に高校生なのかと思う外見もそうだけど、変にふにふにした感じを強調しすぎてかえってゴム人形のようになってしまっているし、動きも動かしすぎてかえって不自然(涼宮ハルヒのスタッフと同じ陥穽に落ちている)だ。野中キャラの口なんて、あれはもうまったく人類の口ではない。猫族か、げっ歯類である。「萌え」の記号が飽和状態で、すでにグロテスクの境地にたどり着いているように思えます。

 まあ、作品の狙い(主題)自体は直球勝負のようなので、見る側の快不快はともかくとして、お話としてはきちんとしたものになるかもしれない。
 その狙い自体が間違っている可能性はなくもないし、お得意の意味不明独りよがり展開に走りさえしなければ、という条件がつきますが。