第十三話「Vの惨劇」

 タイトルはエラリークイーンチックで、「奇妙な死体のしぐさ」が話のキーではあるけど、どちらかという、本家本元への仁義きりというか半ば喧嘩売り、という内容。
 早い話が必殺仕掛人が必殺依頼人、という話なのですが(なんとなく緒形拳にているし)、これが
 非常にシリアスな、傍観という悪を巡るお話と、徹底的になめくさった「アルバイト店員あい」とかおでん食い競争とかの「地獄チームで遊ぼう!」なシナリオが交錯するという、けったいな代物で、重苦しいんだか面白いんだか分からない。
最後まで見ても交錯することには、なんの意味もありませんでしたが(87分署へのオマージュではないでしょう)、その意味を、深読みすれば、意味がないところに意味がある――ある人にとっては死ぬほど重要なことでも、他の人にしてみれば何の価値もないことである、という意味合いがこめられてある、かもしれない。

 「V」を巡る謎解きは、おそらく隠す気などまったくないのだろうが、現場にいたカメラマンやキャスターあたりが気づきそうな気もしないでもない。まあそのへんは別に本格的な推理ものでないのでまあいいわけですが。

 最後のきくりの「因果応報代理人」的な介入は、どうやら彼女が別の勢力から送り込まれてきた可能性を示唆する。人間の依頼を受ける地獄チームとは別に、因果応報を担当する組織が今後出てくるのかもしれません。まあそういうのがいるのなら、そもそも不当な災害をこうむった人間が恨みを抱えて生きることはなくなってしまい、地獄チームは商売上がったりになってしまうのだけど。
 きくりがいる以上、一期と同じコンセプトの話を続けていくわけにはいかないとは思うが、これから数話の舵とりは慎重にも慎重を期しておこなわないと、まずいことになるような気がする。