第十三話「ときめきの夕暮れ」

 天宮さんに微妙にフラグが立ったよ、という話。
 っていうかちょっと前からそのきらいはあったのですが、前回ちょっと好感度が下がった分を取り戻して、さらにやや上乗せもされた、という感じである。
 その際、天宮さん関係で重要なイベントであった演劇部ネタを持ってくるあたりが上手い。当然、天宮さんが出ることになった芝居に陸君も担ぎ出される、という流れはもう確実です。三人同時攻略とは、なんと根性の太いことでありましょう。
肝心の芝居は、出来ればロミオとジュリエットはやめてほしいですね(それこそ『黒蜥蜴』でもやればいいのである)。
演出的には、天宮さんの「暴発」のところが面白い。彼女の状態を正面きって描くことなく――表情すらもろくに描かず――外的要因のみを積み重ねることで、視聴者にその内面を想起させて、あまつさえ、いままでほとんど描写がなかった(細かいカットではあったけど)彼女の「陸君のことが気にかかる」という心境までも思い至らせるという、離れ業とはいわないまでも結構トリッキーな手をさらりとつかって見せるのがいい。
 天宮さんがメインになったぶん、ほかの二人の扱いが軽くなってしまったが、まあそれはしょうがないだろう。しかし陸君は一体どこまで自分の所業を自覚しているのだろうか? いやまったく自覚してないのかな? つかさとは友達気分で付き合い、弥生とは「かわいい後輩を励ます」、天宮さんは「いいクラスメイト」みたいな? ある意味、キラよりたちが悪いかも知れぬ。
 にしても、ただの空き教室を秘密の場所、とは……。