第九話「ときめきの海」

いろいろな意味で、「ブラボー! おお、ブラボー!」という話。

前回ラストのお題たる「二人で海」から、どうやってメインキャラ総登場の話にするかと思ったら、近場の海ときましたか。つかさがほんとうに二人きりになりたかったのなら、もっとも避けるべき場所でしたが、そこは「ビギナーだから」と容易に言い訳が見出せるところがうまいというか小賢しいというか。

お話はというと、海で水着でデートイベントなので、なににときめくかは人によって異なるのか、あるいは統一見解あるのか、よくわかりませんが、お話としてはそれまでは、まだまだ「ごっこ遊び」気分もあったはずのつかさが本気になった、というシリーズ中の結節点ともいえる展開が肝でありましょう。照れたり、ふくれたり、ときめいたりするつかさがとてもかわいく描けていました。
それをみせていくやりかたが、またよく出来ていて、モンティパイソンと熱血系のギャグを取り混ぜたようなアニメ店長顔の部長率いる野球チームの異常行動が、ただのナンセンスでなく、プロット上不可欠な要素として存在していたりするわけである。定期的な邪魔で、つかさの不満をあおるだけでなく、最後のところでは、こんどはつかさが自分の気持ちを自分で確認するのを促す、という重要な役どころでもあるのだ。彼らが出てこなかったら、勢いでの告白になってしまったかもしれないから、話が持たないのだ。

今回、天宮さんはまたほとんど人造人間的なキャラに戻ってしまった。しかし、改修の手伝いのはずなのになぜか水着で、青葉くんに見せつけるように、リゾート空間を作っていたりするあたりは、「可愛い顔してあの子は」という感じでもあるから、まったく過去に退行したわけでもないのだった。ちょっと怖いです。
それ以外にも、単なる賑やかしのようだったビーチバレーを、青葉くんの貞操を守るに使ったり、青葉くんの引越しばかりしていたという設定がさりげなく活かされたりと、本筋以外にもネタを欠かさないつくりで、実に楽しい。ひよこは当たり前のように脱走しているし。
さて、青葉獲得レースでは、ひよこを除けば、つかさがいろいろとトップ。さて追い上げるのは誰なんでしょう? 購買員さんだったりして。