第七話

ルルーシュ、敗北を知り、優秀な手駒の重要性を知る、の巻。

方向性としては、いってみれば敗走が前提としてあったエピソードなので、そのこと自体は問題ないのだが、その内容があんまりです。
たとえば、ライトの後塵を拝するがごとく安易に挑発に乗るとか、挑発に乗った後の対策がお粗末きわまるとか(そもそも前回の成功がまぐれだったと見るべきなのだ。シミュレーションと実戦は違うし、チェスと実戦はさらに違うのだから)、生死がかかった作戦であるにもかかわらず「予想してなかった」ことが多すぎるとか、本来敗走の原因として提示したいはずの、天才の奢り――作戦が完璧でも配下がちゃんと動かないと勝てない――という以前の問題、自殺願望があるのかただの馬鹿なのか、というレベルの敗北になってしまっているのがまずい。こんな状況から、このエピソードの最終目標である、信に篤い手兵の必要性という結論を導くのはとても難しいのですが、そこをあっさりルルーシュ君に「悪いのは部下!」と言わせてしまうので、もう治療不可能です。もしかすると、天才型の主人公のアンチテーゼだったりするのでしょうか? 失敗を客観視できない、自信過剰の凡才主人公が自身を天才と思って頑張るブラックコメディ。それはつまりヒーローアニメそのものへのアンチテーゼということで、あるいはなかなか貴重な作品になるかもしれませんが。

判断に困るといえば、ルルーシュパート以外の、シャーリーとカレン(最近は週刊少年ジャンプの『エムゼロ』にも出演中ですね)とスザクの拷問のように恥ずかしい青春トークも、判断に困ります。シャーリーが少し前に知り合った人にもべらべら心情を話す性格なのか、スザクにそういう告白を引き出すスキルがあったのか。破綻というのでなく、キャラクター描写がまだまだ通りいっぺんで浅いから、その内実が確定できない。

さらには、大きなテーマであるはずのブリタニアとは何か、というのも明瞭ではないのだから困惑は増します。
 そのあたりが明瞭に判る(明瞭でないのが明瞭に判る)のが、冒頭の若本皇帝の、ジャイアンもびっくりなトンデモ理論――おまえのすべては俺が与えたものだからおまえは生きていない!――で、これは、アメリカ的な徹底した競争主義のカリカチュア(弱者の排斥)とも取れるし、戦後復興以降アメリカをいろいろな点で活用してきた日本への嫌み(モラトリアム的平和への反発)とも取れてしまう。
良くいえば深みのある意見であるのかもしれないですが、物々しいだけで何も言っていないに等しい発言でもあります。どうしてこうなるかというと、何でもかんでも台詞で片付けてしまうような、テーマへのアプローチの甘さというだけでなく、作り手の立脚点がそもそも明瞭でないせいでしょう。

 と書いてきて気づくのは、この作品に関しては、非常に多くの面が曖昧にして多義的、平たく言ってしまえばどうとでも取れるということですね。はっきりしているのはピザ屋の広告ぐらいでしょうか。
 これが意図した捉えどころのなさであるならば、もしかしたら面白いことになるかもしれませんが、主人公よろしく、状況を勘違いしたまま突き進んだら、どうなるかはもう火を見るより明らかであるような気もします。

 いや、次回の「黒の騎士団」という呼称から見るに、やっぱり突っ込み待ちのギャグアニメをやろうとしてるのかな。