第五話

今回一番ときめいたメモリアルは、ケリーキングとマーティンフリードマンのギターバトルでした。
つまみ食い的にしか知らない浅いメタル好きにもスレイヤーはとても魅力的でアルバムもあらかた持っていたりするわけですが、そのリードギタリストが日本のテレビのバラエティ番組に出演し、なにやら照れ隠しな臭い芝居をしつつもけっこう楽しそうにカルタやったり、曲当てをやったりする姿は相当な萌えです。肉の食べすぎでぷよぷよした腕を隠すあたりの恥じらいもまたかわいい。

 あ、前番組の話だなこれ。
 閑話休題

さて本編。
体育祭の話である。
オールスター出演で、ここまでの総括的な回ともいえる。当然今までのネタをすべて踏まえて展開するのが連続ものならではの面白さ。たとえば、一話目からずっと続いてきた青葉くんを男が追い掛け回すネタあり(マッチョ包囲網ってなによ、全クラスにマッチョが常備しているのか?)、つかさの毒料理(弁当箱にかかれた業務用ってのがいい味出してる)もただワンポイントネタでなくその後の展開に不可欠なアイテムとして登場、ひよこの侠気ももちろん出てくるし、なんだかんだでノリのいい堂島君もその本領を発揮(ちゃんと体操着を着ているあたりが素晴らしい)、前回の逃走劇、ワンカットながら水泳部の人も見せ場があり、科学教師のマッドサイエンティストネタまでもちゃんと再利用。

過去ネタの活用以外にも、展開がすべて有機的につながっていて、実に楽しい。

まあ、よく考えてみるとごく当たり前の話の作り方なのだが、現実問題として、アニメに限らず、日本のシナリオ業界でこういうテクニックをきちんと使いこなしている人がほとんどいない気がするのは気のせいだろうか。

そして今回は満を持してというか、巻き返しというか、天宮さんがメインヒロインとしてフィーチャー(一方、本人がメインキャラなので天宮伝説は消えました。つまりあれはそういう目的だったわけですな)。
しかしこの天宮さん、完璧キャラに描きすぎてなにか怖い。すべてが裏のある発言のような――さながらおんな夜神月のような?――印象があるのはこちらにピュアなハートが失われているせいだろうか? 
たとえば主人公と一緒に体育倉庫に閉じ込められたときの

「あなたのおかげで、思い出が作れたわ」→「閉じ込められたのは君のせいね」

みたいな。
邪推?

しかしそんな邪推を振り払って、しかと見ると、この体育倉庫のシーンはなかなかうまい。

天宮さんが思い出がどうこう言うのは、「ときメモ2」のメインヒロインっぽいのだが――というかこれしかやってないので、もしかしたらほかのヒロインもみなそうなのかもしれないが――、ゲームでは彼女が二言目には思い出思い出言うのが物悲しかった記憶があった(今を生きるという概念はないのか、って言うね)。それを、天宮さんの場合は、その物悲しさを逆手にとって、完璧超人過ぎるせいで今を普通に生きられない、といったような、彼女の人格形成を垣間見せるアイテムに昇華できていたと思う。と同時に、主人公のバックボーンの説明のトリガーになったり、二人の親和のきっかけになったりと、無駄遣いということをしない流れでもあるし。深読みしすぎかね?

まあ、完全無欠なシナリオというわけではまったくなく、たとえば、ふたりを倉庫からの脱出させるやり方は強引にもほどがあるわけだけど。

落ちはすごいっていうか、なにかこれが「あり」に思えるのがこのアニメの一番の蓄積の活用であるかもしれない。