第四話

物語的には、要たる兄を翔子とからだの(非日常の)世界にとりこんで布石完了、というのが今回の狙いで、それ自体は成功していると思うのだが、その兄のキャラが不快すぎるのがどうにもこうにもきびしい。

内面描写がろくにされてないので、外面から判断するしかないわけだが、前回の手紙の話でもわかるように、この男、他者性が皆無なのだ。
自分がちょっと不幸だと、自分ひとりが世界の不幸を背負っているみたいなオーラをばら撒いて、それが周囲にどんな影響を与えるかを考慮できないタイプっぽい(からだが自分が負担になっていると感じたのはそのせいでは、という気がする)。それどころか、妹を必死に探しているというよりは、妹を必死に探している真摯な自分という状態に酔っているようでさえある。
そのくせ、妹でないと思い込んでいるにもかかわらず、出された朝食は当然のように食べる(夜を徹して話し合ったようにはとてもみえない――どうせぶすっと黙って煙草を吸いまくっていたのだろう)。
だいたい子供がいる部屋で平気で煙草を何十本も吸う神経が終わっている。副流煙はとても体に悪いのだ(作り手がそういうことに無知で、たんに演出上のアイテムとして使っていたとしたら、「選択を間違えましたね」としか言いようがない。まあ、煙草を誠実のアイテムとして使うはずもないが)。
「大切な妹」というわりに丁寧語で距離を作ったりするあたりの神経もいまいち不明。

ようするに、物語の中心にいるにはもっともふさわしくないキャラを中心においてしまったということである。少なくても、このシナリオと演出からこのお兄さんに好感を抱くのは無理だ。といって、不快に感じさせることが目的にもみえないから、困ったことである。
兄以外のキャラや田舎の雰囲気、それを醸成する演出や音楽は悪くないだけに、残念きわまる。

次回は新キャラを含め、少しばかり世界が広がる&動く感じであるので、そのあたりは期待。

あ、そういえば縁日のシーンは、同級生とからだが再会する(でも同級生のほうは気づかない)、変身もののお約束イベントがあると思ってたらさっぱりなかったな。
たこ焼きを翔子に渡して兄とからだが二人で行く場面で紙芝居っぽくなったのは、制作上のミスっぽいが、こちらはなんだろう? 次回以降同級生視点で縁日を描きなおすんだろうか。