第十二話「世界」
サナです。
いよいよ最終話。
始まるや否や、サナはいきなりすっぽんぽんでどうしようかと思ったけれど、本編ではエピローグまではほとんど出番が無くて楽だったです。
お話は、ジンが乗ると大変なことになる機械に乗って、大変なことになりました。なぜジョーが乗っても平気だったのかということを理解できなかったための悲劇であるということを、作っている人は言いたかったようですが、ジンとジョーの根本的な違いをものがたりの中でちゃんと描いてこなかったので、とっても味気の無いシーンになってしまいました。
自分はこういうひとでこういうことを考えているのだとジンが自分で説明しただけでは、なんの感慨もありません。そうなんだ、というだけです。理解すると感動するのは違うのです。サナもジンのことなんて、前回あたりからもうどうでもよくなっていましたから、実はジンがどう死のうとどうでもいいのでした。
さて、ジンがあっさり死んでいき、真の敵としてドレイクさんがジョーの前に立ちはだかるのですが、この人とサナはほとんど何の接点も無いのでジンの死以上にどうでもいい展開でした。サナの生死は一国の危機よりも大切なのです。
そうでないなら、タイトルもイノセントヴィーナスでなくて、トラジの世直し大作戦とすればよかったとおもいます。
ともかくスーパーパワーを発揮したロボットを操って、世界を大変な状況にまきこもうしたドレイクさんですが、もともと不安定なシステムなのでいつまでも勝てると思っているほうがおかしい、ということは誰も教えてくれなかったのでしょうか。特に番組が終わりに近いときは、完全なシステムだって壊れることは珍しいことではなくなるのです。それがサナの知り合いの生死にかかわることであるなら、味方になってくれなくても作動停止になってくれることぐらい奇跡でもなんでもないでしょう。
かくしてドレイクさんは滅び、気がついたらロゴスも滅びたことになってしまいました。あれ? ロゴスって首都にもいたんじゃなかったっけ? というかあそこは首都だったの?
場所の謎に加えて、最高権力者みたいな人もいたとおもうのですが、彼らはきっと爆撃でみんな死んだのでしょう。
ともあれ、問題が勝手に解決していって、ジョウはすっきりさっぱり旅に出ます。なんでかしらないけど、ともかく旅に出ればかっこいいということなのでしょう。戦後復興っとか言っている少尉さんにぶん殴られそうな気もしますが。サナは別についていきません・だってジョーといても守ってもらえる以外の利得はないもん。
作品全体の総括として、まずいえるのは、ごらは要らなかったな、ということ。ついで、サナは最後まで可愛く描けていたな、ということ――可愛いだけでたいした中身は無かった、ということでもありますが。さらに、設定とキャラクターデザインをおこして、適当にお話をくっつくけさえすればそれでドラマになる、というのが、大いなる勘違いであるということを学んでいないアニメスタッフがまだまだこの世にはたくさんいるのだな、ということ。そしてなにより重要なのは、からっぽの心を否定した作品自体がお題目ばかりで中身がからっぽであるという、この根本的欠陥をどうにかして欲しかったということですね。