第二十六話「その 白いやさしい街から…」

いきなり冬、そしてたぶんシリーズ初の雪景色。最終回にしては、華やかさには乏しいが、それは失敗ではなく意図的なものだろう。
 つまり、メインキャラみんなで祭りに花火に宴会という、「動」の総括である前回と対比する、アリアカンパニーだけでのんびり散歩、雪だるまを作るだけ、というミニマムな流れで表現された「静」の総括、という位置付けなのである。なんと言っても「アリア――独唱曲」であるのだし、しめやかに終わるべきだろう(二人と一匹だ、などといってはいけない)。

 個人的には、雪球を作っているのに次々と手伝わせてくれと人が寄ってくる風景は、人情あふれる共同体感覚皆無の人間からすると、ほほえましいとか人の心の温かさよりも、いささかうざったいというか、ちょっと怖いというか、人の楽しみを邪魔するやつめ、というか、そういう気にもなるのだが、それをやって不自然でないところがこの作品のいいところ――設定という次元では量れないファンタジー要素ともいえる――であり、それを具体化することができるスタッフの才能の結実でもあるのだろう。

しかし、雪のネオヴェネツィアはどこまでも美しいし(あんまり寒そうじゃなかったけど)、最初に手伝ったおっさんが最後にまた出てくる、というような定番の楽しさであるとか、おっさんの家族の、牧野由依が声を当てていたらしいショートカットの子が妙にツボだとか、お茶のセットがおいしそうだったとか、見てて飽きない一編で、なおかつラストには、ちゃんと未来への展望があって――それはつまりパート3への色気のようなものあるのだろうけど――気持ちよく見終えることができたのでした。

これでアリア社長が、姫社長並にかわいければ、文句ない一作だったんだけどな、と初期から不満を、ゴールドベルグ変奏曲のラストごとくにリプリーズして、締めとしたい。
ぷいにゅ。