第十七話「復元されし者」
物理現実の優位を語る……どころではない十七話。どちらかというと、高度に進化した科学は魔法と区別がつかない、という話でありました。てゆーか非科学的?
ともかくも、彼我の戦力差は圧倒的で、ストーリー的には絶望観が漂う展開のはずなのだが、敵の能力があんまりに何でもありなので、たとえは悪いが「つよきす」の生徒会長との戦いなみに理不尽ムードが先にたってしまい、あまり盛り上がらないのだった。もうこうなると、「心があるものには本質的な優位性が」とか「敵の生存には実は大きな欠陥が!」ぐらいしかないだろうっていうか。
見方を変えれば、このあたりは、この作品をバトルものとしてでなく、心理ドラマないしSF風な物語として収拾をつけるという作り手の表明であるのかもしれない。
敵が「理由」を追求するあたりもその予感を増大させる。そもそもどっちがはじめた戦いなんだっけ、という気もしないでもないが。
と、テーマと今後の展開には微妙に暗雲が漂っていたりもするのだが、一編のサスペンス回としてみた場合、序盤の敵の意図がわからないあたりから、潜入までの流れや敵の強さの見せ方、ラストにいたる構成まで、なかなかの出来映え。
エピソード的には、敵がフォセッタをあっさり破壊したのは、なかなかのインパクトがあった。すぐに復旧することも含めて、定番の展開ではあるけど、緊迫感を出すことに成功しているし、AIと人(幻体データ)との違いを説明する意味でも効果的な場面だった
そういえば、侵入者がシズノを探していたのは、以前データを奪ったことがあるからか? 彼女の別名がイェルとかいうのは今回はじめて知った(あるいは今までに聞いたことがあったかもしれないが憶えていない)が、キョウはそれをいつ知ったんだろう? もちろんリセット前のキョウは知っていたのだろうから、その記憶が復活したと……というのはちょっと苦しいか。たんに以前どこかで言及されていたのをこちらは忘れていても、記憶力のいいキョウは覚えていた、というだけのことか。
リョーコがらみではまたも彼女に試練のときが、って、なんかここのところほとんど毎回なにか試練にさらされてないか、彼女。
キョウはそれなりに悩んでいるとはいえ、悪く言えばずっと同じポジションで堂々巡りしているだけで、変化を余儀なくされるような苦難には遭遇していないというのに。
次回はその悩み(のみ)担当のキョウがまた悩むようですが、「現実とは本物とは何か」って……。
またそれかい!
マトリックス世界ならともかく、ゼーガペイン世界のレベルではとてもデジタル空間は現実(本物)とはいうことはできない、ってもう前回でわかっちゃってるのになあ。
もちろん、複雑ではないが本物、という言いかたは可能なわけだが、キョウにそういう柔軟な思考は出来ないしねえ。世界がループしたらからって疑問までループしなくてもいいのに。
そういえば、侵入者が探してたのはずっとシマ司令だと思ってました。彼が実は実体あるもの、見たいな展開を想像してたので。名前も「島」だし。