第十六話「翠玉のリ・マージョン」

 もっとも神に近づく業を行なったら、必然的に神に召される、という話。ドミヌーラとリモネの絆の描写をいくつか積み重ねてクライマックスのリマージョンのシーンへと至る構成はとてもいい。平行して進むパライエッタの煩悶のほうは、説明的にすぎる気がするのとアーエルの場当たり的なキャラクターのせいで、いまいち。
 さんざんひっぱった「いなくなったシビュラたち」が、『ちょっと時間経っちゃったー』的な能天気さで戻ってくるのは、どうなんだろうか。一人ぐらい帰投に時間がかかったことを気にかける人がいてもいいように思う。
 いなくなったドミヌーラたちはどうなるかというと、帰ってくる公算が高い。というのも、リマージョンに失敗したわけでないという設定的な合理性、神に挑むというドミヌーラ野や某の話がまったく終わってないというテーマ面での必然、そしてリモネの物語がまだちゃんと描かれていないというキャラクター物としての欠落補填と、復活へのお膳立ては万全だからである。