第二話

前回予告で示されたとおりに、ヤノの死んだ彼女の影の話と、七美(これはあえて奈々と同じ音の名にしているのか)のいきなりの告白とかいきなりの喧嘩とかいきなりの仲直りとか。

 主人公は、理想化はされているが、それでもそれなりに「普通の女の子」に描けている感じがいい。これは前回も書いたとおりの声優の演技力のなさがプラスに出ている。というかそんなに下手じゃない。少なくてもこういう芝居では問題のない感じになっている。

 矢野のほうは、この手の話の基本のトラウマ無敵ハンサムであることが決定的になったけど、これまた余裕があるんだかぴりぴりしているのかわからない微妙な声(たぶん偶然の産物)のおかげで、面白いぐらい生っぽくなっていていい。声優が半端に演技をしているのが、ヤノのどこか自分に酔ったような(そして酔い切れてない)個性とシンクロしているのだ。

 この辺は実写の素人と違って、「体」の芝居は作画と演出で完璧にコントロールできる強みもある。要は使い方なのだった。

 たとえば告白のところ。音楽や効果音をぎりぎりまで削ぎ落として、彼らの言葉と表情を見せることに全力を注ぐ。もちろん、音楽も効果音も使うところははっきり使う。チーンっていう音がなんか印象的だ。

 このレベルでずっと続けば、なかなか凄い。いささかちょっと疲れる気もしないでもないが。
 脇キャラでは何かと面倒見のいい竹内くんがいい味だしている。もしかしてメインキャラになったりするのかね。奈々とヤノだけではどう考えても話しがもたない気がするから、キャラクター関係はこれから追加されるんだろうとは思うが。

 あと、推理ものではないにせよ、「山本さんがなぜ伝言を伝えなかったのか」とか「奈々の真意はどうだったのか」とか、さりげないフックが随所にあるのが面白い。