第十三話「不思議の国のハルヒ」

演出は飛ばしていたが、原作ほど遊びに走らず、一種「これまでのお話」的な構成でまとめてきました。
 話の趣向――誰が、いつ見ている夢か、というのは、序盤で見当をつけさせ(「誰」はもちろん一人しかいないし、「いつ」も猫澤兄妹のところで、二人が一緒にいるってことはつまり、というふうに容易に特定できる仕掛けですね)、あとはその趣向に乗って、夢=ハルヒの主観によるホスト部とのこれまでの回想につきあっていきましょう、というわけ。
 ううむ。

 確かに原作そのままでは、本編とは思いっきり断絶した持ち回りアリスコスプレショー、もうちょっと詳しくいうとお楽しみイベント羅列ショーなので、シリーズものとしての意味を出しにくい(もともと番外編的なお楽しみイベント回なので、そうなるのは当然の帰結なわけだども)。そのうえ、その各イベントが、アリス服のキングとかアリス服の双子とかアリス服のモリとかは絵的に微妙すぎるものや、モリ先輩の赤ちゃんプレイや全裸といった微妙どころの話じゃないものとか、偏った層へのアピールが多すぎて、わりと広範な層が楽しめるようにバランス考えて作っているように見えるこのアニメ版にはあまり相応しくない感もあるので、こうなるのも仕方なかったかと思わないでもない。

 が、すべてをハルヒの夢とするにはちょっと無理があるし(キチガイお茶会のところとかね)、「母親」のあたりなんかはやりすぎという気もする。一話のお話としてみても「夢」の不条理感を強調するあまり、いつもよりテンション低めかつギャグもネタも少なくなって、結果、話の流れが終始平坦のまま、ラストのスコシマジメに雪崩れ込んでしまい、共倒れになってしまったように見える。
 狙いはともかく、成果はいまいちなのだった。策士策に溺れるというか。

 いいえ、けっしてアリス服ハルヒがでなかったから文句を言っているわけではないのです。女王鏡夜とかもね。いや、見たかったですけど、それは話の都合でしょうがないわけで。