第二十二話「願いの果て」

さて、虎穴に入って虎に喰われてしまった誰かさんの顛末と、それを探すヒロインズのやりとりで今回は始まるわけですが、いきなり「容態が悪化して」倒れたことになっているイリヤ。まるで連載漫画の後付け「新展開」みたいですが、週一で書き飛ばしているとも思えない作品でこういうことになるのはきっとなにか深い意図があるのでしょう。ええきっと。
 
 過去についてのセイバーの長々とした述懐、聞いているうちに頭がぼんやりしてきてどうでもよくなるのは、こちらが睡眠不足のせいですよね。シナリオライターが手を抜いて、読んでも意味がわかりづらい原文をそのまま台詞に引用しているからではないはずです。
 しかし考えてみるとセイバーを選んだのは選定の剣の判断なのであって、セイバーが自力でなったわけではないのだから、やり直しといっても意味ないのではなかろうか、という気がします。また選ばれるのでは? 大体アーサーの治世がなければローマに侵略されてたような気がするわけですが……。この世界のアーサー王はそういうことは何にも考えてません。選定の剣が間違っていた、というのはきっと正しいのでしょう。


 対する士郎くんの思想もすごい。

Q:過去の大量虐殺を未然に阻止して、多くの人を救うことができますがどうしますか?
A:現在の遺族の過去の悲劇を乗り越えた気持ちも大切なので、救いません。

 徹頭徹尾、馬鹿です。
 たくさん死んだ過去より、誰も死んでない現在のほうが良いに決まってます。なんだかんだでこのひと、人の命なんかどうでもいいんですよね。正義の味方を目指す自分、悲劇を抱えて生きる自分、が大好きなだけで。自分の命を粗末にするのはそうするほうが「悲劇的」でかっこいいからにすぎません。お寺の友達の心配なんかまったくしてないし。慎二? 誰それ? てなものです。


 時に神父の言っていることがよくわからなかったのはこれまた寝不足のせいですか? 聖杯って具体的になにするの? 破壊をもってしか何かを為せないとか言ってましたが、破壊をもって為せることは破壊を伴う行為だけで、過去を変えたりとかは無関係ですねえ。一歩譲って、過去に戻る力は別にあるとして、過去のなにを壊すの? セイバーの存在を抹消してしまえば、たしかに王にはならないですみますが、このやりかた「悪魔との三つの契約」より悪質な詐欺ですね。
 ってこれは原作でも思ったことでしたが、ようするに説明は嘘ばかりだったという話なのでした。原作でもやっていて唖然としたことを昨日のことのように思い出します。

 ランサーはめでたく退場。必殺の槍を使わないのが馬鹿すぎですが、使ってしまったら勝ってしまいシナリオが壊れてしまうので使わないのでした。あるいは効果がないことを説明するキャラがいないせいで「まるで物凄いご都合展開みたいじゃないか」と視聴者に言われるのを避けたと言うべきでしょうか? 

 かくして次回は大詰め? しかしこうやって第三者視点で再構成するとつくづく工夫のないストーリーですねえ。さて、あの光り輝く「すべて遠い○○○」の説明をどうやるんでしょうか? そこだけがすごく楽しみです。再来週までひっぱるかもしれないですけど。