第八話「孤島症候群(後篇)」

えー、後編です。今回は、まったくもって、意外でした。
 まさかキョンくんが犯人だなんて。皆さん、見抜けました? んふふふ、無理ですよねえ。ハルヒさんの第一の推理がとある古典のいただきであるとか、第二の推理がこれまたとある名作(長門さんが読んでましたねえ。どれといったらマナー違反になるので言いませんが)のヴァリエーションであるとか、いろいろ微妙なところもありますが、さすがのわたしもこれはわからなかった! 

 ハイ、脱帽です。
 そして結末、えー、これもすごかったですねえ……、キョンくんが執事の荒川氏やメイドの森さん、ハルヒさんは愚か、長門さんや妹さんまで手にかけて、たった一人で荒海に出て行くなんて、壮絶としか言いようがありません。「ひぐらしのなく頃に」並の衝撃です。
 おそらく何ヶ月か後に、今までのナレーションをそのまま筆記したような分厚い文書が、梅シロップを作るような瓶に詰め込まれて、近くの海辺に流れ着くに違いない! 今までのくだくだしい語りもすべてこの意外性を狙うための伏線だったというわけで、いや、じつに用意周到でしたねえ。

 しかし、たったひとつわからないことがあります、こうやってメインキャラをほぼ皆殺しにしてしまって、今後このシリーズ、一体どうするつもりなんでしょうか。

 あ、そうそう、忘れてました……。来週、第十四話とハルヒさんは仰っていたのですが、「朝比奈みくるの冒険」は第零話ということのはず……、すると、このアニメーションは全部で十五話、ということなんでしょうか? それとも、みくるは第零話ではない? どーいうことなんでしょうか。

 以上、孤島症候群後篇感想でした。
 え、公園で見かけた洗面器の男はどうしたかって? それはですねえ・・・・・・ウグッ(テープはここで途切れている)。


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 孤島。後半。感想。二字。列挙。


 凡庸。退屈。冷気。実写。落書。
 引用。安易。無理。空虚。浅慮。
 軽率。陳腐。洞窟。下着。太腿。
 接写。下品。幼稚。無為。定番。
 微細。怠惰。暗愚。安直。的中。
 必然。戯作。素人。計画。失笑。
 予定。延滞。十四。愚弄。忘却。


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一話おいての孤島編の完結である。
 結局なんの捻りもなく、ベタにこの推理物もどきは終わったわけだが、作品的にまずいのはストーリー面でのショボさだけでなく、ドラマ的な深化がほとんどないところですかね。いや、もしかしたらあるのかもしれないが、憂鬱のお話がいまだ断線している(というか記憶のなかで霧散しかけている)ので、そこからの変化の度合いがわからない。たとえば、長門の扉のエピソードとか、ギャグと判断できる要素がキョンの独白しかない。ハルヒが、野球の話でみくるに嫉妬してたみたいに、今度は長門に嫉妬するかと思ったぞ。

 なんでこういう齟齬が起きるかというと、前も書いたとおり、各話が中間のエピソードの欠落を前提として構成されてないため、どこまでが意図的にわからないようにしているのかが、全然わからないのである。というより、明らかに中間のエピソードをみている前提で話が作られてますな。
 これでキャラクターの内面を掘り下げて見ていくのは無理だ。作り手が読者が受け取っていると想定している情報を、話数にして三話――時間にして一時間余を、視聴者は受け取ってない訳だから。たとえば、ハルヒがブラジャーを取るのを躊躇するくだりとか、ハルヒキョンの関係性が「憂鬱Ⅲ」あたりからどのように移ろってきたかを知っている人ならば、その意味するところがすっと理解できる、そういう場面のはずなのだが、過程を知らされてない身としては、その意味するところを「推理」してから「理解」しないとならない。これは、心情推測クイズとしては成立しているが、心理描写にはならないのである。

 すると残るはキャラ萌えぐらいしかない、とこういうことになる。見る側が自然にできること、という意味では、それしか残ってません。新聞紙を適当にひっちゃぶいてジグソーパズルだ、というような向きにはこれでも充分に楽しめるのかもしれませんけど。
 あるいは、敢えて構成を崩し、流れを乱すことで、中身を斟酌出来ないようにする――いいかえれば斟酌して欲しくないという表明ともとれる――ということなんだろうか?
 シリーズは中盤を越えたというのに、どうにもこのスタッフのやることはわからない。実写と落書きを対比させたり、そういう細部でばかり凝ってもしょうがないと思うのだが

 そういえば、ひとつ気になったのは、古泉と謎解きをしてた時のキョンの「よくわかったな…・・・」というくだりは、横で誰も聞いてなかったはずだから、演技する必要ないような? あるいは「というのは冗談で、さっさと真相を吐け!」みたいな流れを省略したってことなんかね? 一人称ものでは主人公が客観叙述レベルで嘘つくのはかなりまずいことなのだが。