第十話、第十一話

どこまで言っても、このアニメの街の外の砂漠のように、曖昧模糊として先が見えません。まとめてみれば少しは見通しが良くなる、と思ったわけではまるでなく、単に十話を見るのが面倒で放置してあったというだけで、といって三話四話たまってから見るのは拷問だしね。

 そんなわけで第十話は、リルとデタルスと局長の話、デタルスと局長の話は限りなくボーイズラブ系の漫画のテイストである。脅迫材料を振りかざして、相手を意のままに、なんて調教系の話の定番である。それも、単純な力の行使による支配と服従でなく、相手が支配を自発的に「望む」ように――つまりただ「お願いします」をいわせるのでなく、「お願いします」を自分で言いたがるように――するのがミソである。
 見せ方もデタルスの後ろから覆い被さる局長、とかその手の人たちにアピールするようなショットが多かった。ピンとこない人はデタルスを女に変えてみればよろしい。こうすると、ほぼ男向けのエロ漫画に近似となります。

 一方、デタルス君が微妙な立場にたたされているあいだにリルは妄想のなかで勝手に悟りを。ううむ、そもそもその葛藤の程が見えないのに、その解消劇をやられてもねえ。

 第十一話は、今度はビンス君が妄想空間の変なキャラの助けをかりて、悟りを開く話。かなりどうでもいいですな。というか今までの旅にどういう意味があったのでしょうか? まさか意味ありげな台詞やイベント並べるためだけだったとかはいわないでほしいところ。そうなんだろうけど。ちょっと前わたしは死の代理人とか言ってたのはもう忘れたのか。

 シナリオ的も、のっけからだらだらと、明らかに未咀嚼の文章台詞で、テーマとか関係がありそうでなさそうな引用らしきもの、韜晦語法、無から意味を作り出す意図見え見えのループ、と押井守の悪い遺伝子が勢ぞろいという、言いようによっては絢爛豪華でもある二十分。これは、つらいです。視聴者に悟りの境地を要求しないでください。
 ともかくも今回で二分化してたラインはひとつになり、主人公たちは曲りなりも目的を得たようだしで、次回からはこの五里霧中状態も少しは解消されると期待したい、期待はしたい、期待だけはしたい。

 エンディングは「Idioteque」にすべきだと思う。