第三十二話「ボーイ・ミーツ・ガール」

衝撃。リク死亡。
 これは本当に意外。せいぜい、攫われるか重態ぐらいかと思ってたんだけどなあ。シュヴァリエ化する前から歌声が聴こえていた伏線は果たしていずこへ。
 しかも、服を脱がされ、お腹というか骨盤あたりに蓄積するなにかを略奪され、ディーヴァ自身も服を脱いでたってことは……、たぶんもういないような気もするけど、お茶の間で食事をしながら見ている一般家庭で、ちいさな子供が親に「あれなにがあったのー」と尋ねたりしないことを祈ります。しかし嫌なボーイミーツガールだ。
 
 そういう、ある種反則的な衝撃を別とすると、今回はあまり褒められた出来ではありません。いや、その衝撃にしても褒められたようなものじゃないですが。

 たとえば、ディーヴァ対小夜で、「刀に血が塗ってなかった」とか、馬鹿ですか? 決意して、みんなで島に帰るといっていて、肝腎なことやってないじゃん! 実は帰る気ないな? そういうずっこけオチはいらないと思うわけで。あそこは普通に猛撃して、ディーバが戦わずにいなすというぐらいの流れでよかったでしょう。
 赤い盾も相変わらず馬鹿です。翼手にもろくに勝てないのに、シュヴァリエに勝てるわけないじゃん! 応戦なんかしてないですごいバリケードを築くとかしたほうが時間稼ぎになるんじゃないかな? かな? 
 覚悟をきめた男ジョエルの終盤における、雑魚っぽい逃げ方(飛んでくるシュヴァリエに慌てふためき背中を見せて逃げる)を見ると、たぶんこれはわざとやってる描写なんでしょうが。
 カイもまあ馬鹿ですが、もうこれはどうしょうもありません。来週からほとんど主役になるみたいですが、この馬鹿っぷりが改善されたらほぼ別キャラになるのでたぶん馬鹿のままでしょう。弟が何かされてたときはきっと気絶してたんだよね? 
 ハジ……は強いときと駄目なときのムラがありすぎます、っていうか、小夜とディーヴァを活躍させるために毎回死にかけているような気がするんですが。超高速で戦えるのに、あの銛は避けられない? 銛は超高速で飛んでないのになあ。菊地秀行作品を例に出すまでもなく無敵キャラの扱いというのは非常に難しいのだけど、これは安直にも程がある。
 ってな具合に、悪い意味で集大成的な一編でありました。

 次回は「そして一年が経った……」ってちょっと待て。リクが死んで、これはカイが今度はシュヴァリエか、と思ったのにそうならないのか? ぎりぎりまでそれは温存するのか、あるいはあくまで「人としてのカイ、人外としての小夜」の関係に執着するのか。でも後者だと役に立たないんだよなあ。

 さてさて、起死回生・汚名返上・名誉挽回(テコ入れとも言います)の第二章になるでしょうか?