第六話「孤島症候群(前編)」

〈前編〉
 ええそうですよ。今回は六話だけど九話です。If9was6 ! てなものですね。あ、ifじゃないや。
 さらに言うなら、推理もののパロディです。
 おもしろくないですか? いえ、われわれが面白がる必要はないんですよ。ハルヒさんが面白がってくれれば、それでいいわけです。え? まさか殺人事件のお膳立てもやっているんじゃないかって? それどころか、もしかして全部狂言なんじゃないかって? いえまさか、そんな単純なオチなわけないじゃないですか、いやだなあ。きっと後篇になったら、失踪している人の捜索、そんな中、メイドさんがその彼に襲われるが未遂に終わり……というような事件が起きて、その後じつは彼もだいぶ前に死んでいたことが判明、意外な犯人(でもないな。犯人が前編で出ている人と限定すると、実質一人しか残らない)がついに明らかに……というような推理ものの定石にのっとった展開があるはずですよ。ええ。たぶん。
 でもいくらなんでも事件が起きるのを全部ハルヒさんのせいにしたら、ヒロインとしての立場に問題がある? うーん、確かに問題ありますねえ。世界を滅ぼすみたいな、壮大すぎてもはや抽象的な事象に思えてくる危機に比べると身近で人が死ぬのを「望む」なんて、駄目ですよねえ、人として。まあ、そのへんは後篇でなんとか解決されると思いますよ。僕はまだ後篇に辿り着いていないので、断言は出来ませんが。
 それ以外にはいかがでしたか? 皆さんお目当ての水着のサービスもありましたし、ご満足いただけたと思いますが。え? みくるさんの胸の揺れ方がこれみよがしで気持ち悪い? 下品? それは失礼致しました。でもああいうのを喜ぶ方も多いのでねえ。鞄にはいっている妹さんとかも、ほとんどの方はお喜びですよ? わたしには鞄に死体を詰めて運ぶ推理物のパロディに見えましたけども。微妙にグロ……いえいえ、きっと、あそこはもっとシンプルな「萌え」サービスなんだと思います。
 船の中のトランプするシーンで光量がありすぎてまるでデッキでやっているように見えましたか? 実は僕もそう一瞬思ったりもしましたが……あれはなんでしょうねえ、船内とデッキとで当然あるはずの、直射日光と人工照明の差をスタッフが考慮してなかったのか、或いは、まるで自然光のように見える屋内灯を使っていた船という描写なのか……解釈が分かれるところですね。とりあえずうちの組織は関係してませんよ。
 バカンス描写が妙に止め絵が多いのは、あれです、青春のひとコマ、の隠喩的表現ですよ。時間がないとか予算がやばいとか動画を手抜いたのではなくて、大切な時間は一瞬一瞬の積み重ねだ、とそういうことですね。みくるさん風にいうと不連続な時間平面を切り取ったという感じでしょうか。一つ一つの場面が平々凡々なのも、そういうことです。夏の思い出なんて類形的なものに決まってます。別にキャラ描写のためにあるわけではないんです。唯一、長門さんが泳ぐつもりがまったくないのにわざわざ水着を持ってきているのみならず着替えているのには、意味があります。あれは、もちろん、サービスカットだから、じゃなくて実はキョンくんに見せたかったんですよ、水着姿を。そうにきまってます。宇宙人の端末的存在に色気を見せられても困るという気もしますが。
 しかしなんですね、微妙に社会と折り合いがつけられない人がヒステリーを起こさないように生暖かく見守り、楽しい合宿にするべく周囲が努力する、という光景は傍から見ると結構イタいですね。そんな話じゃない? そうかなあ。王様ゲームとか、そもそも痛いゲームをわざわざちょいすするあたり、そういう狙いに見えましたけど。
 執事に大塚明夫さんだったのには僕も驚きました。贅沢ですよねえ。もったいな……いえ、役に貴賎はないですよね。いえ寧ろゲストなんだから、これは厚遇というべきなのかもしれません。あ、言ってることが矛盾してしまいました。どちらをとるかは、お任せします。
 さて、来週は八話ですね。ええ、そうですよ八話です。今回の続きじゃありません。砂漠の話らしいです。十話はいつやるかというと未定です。やらなかったりするかもしれない。いやまさかそんなことはないですよ。冗談です。
 そうそう、ところでこの前公園で赤い洗面器を頭に乗せた人を見かけたんですが、その人が――
(以下、後編)