第四話「涼宮ハルヒの退屈」
通常版
1 七話はただの七話だった。
2 錯時法の意図不明。設定の先出しのみならず、ドラマ面の先出しはただの予定調和になってしまうとおもうがどうか。
3 そもそも話がつまらない。定番ネタというのは視聴者にキャラクターと設定が定着してからやるべきなのでは? しかも――
7 とはいえ、テーマ的には、ハルヒを失望させると世界が滅ぶから、失望させないようにしようって、今週のアリア並に甘えん坊を優遇する世界ですね。キョンの未来はどっちだ。
4 野球の内容に工夫が無さ過ぎである。ハルヒただの馬鹿じゃん。不思議好きがあの変なバッテッィングに違和感もたないの?
5 みくるがらみ。間が持たなくなると色気、とは、ハルヒと製作者は頭のレベルが一緒。
6 ハルヒとキョンの関係の描写自体は悪くない。順を追って描いていれば。
8 長門の本が実はちょっと変。
初回限定ディレクターズカット完全版
前回の予告通り、前回の続きではない。前回の続きは次回である。
しかもこれ、いわゆる錯時法というのではなく、どうも本来の第七話を何の工夫もせずにもってきたようにみえる。というのも、錯時法を使う時はふつう「視聴者が経過を知らない」を前提にして作り手がエピソードや台詞を斟酌するからだ。つまり、時間軸上は既出な人物や情報であっても、それをフックとして利用するのでなければ、必要に応じてフォローが入るものである。
が、これはひたすら視聴者に欠落した過程の推測と新規用語、新登場人物の設定推測を要求する。視聴者と製作者との知恵比べ(腹の探り合い)とでもいったらいいのか。似たようなノリの作品としては、映画『メメント』を思い出すけど、あれは「視聴者が記憶と推理すること」自体がプロットやテーマと絡み合っていく作品なので、やっぱり違うのだった。もしかしてこれも、記憶と実存と時間をモチーフにしたシリアスなドラマなのか?
少なくとも現時点では、この三話の次に七話を持ってくる仕掛けは、三話の次に七話をもってきただけに見えます。
ストーリー面でいうと各種設定の先出しというか変な既出化よりも、キョンが少しずつハルヒを飼いならしつつあるというのがこのシャッフルによって、「二人の関係の進展した結果」でなく「予定された未来」になってしまったことのほうが問題な気がする。こういうのは普通に段階を踏んで見せたほうが効果的な気がするんだが。
構成上の問題を置くとしても、問題はある。
今回の草野球話、話として単純につまらない。
この手の仲良しチームでしろうとの集団競技参加って定番というか、定着してきたキャラをより立てる常套手段といえそうな話なわけだけど(部活動ものではハルヒの先輩とも言える『究極超人あ〜る』とかでもありましたね。『グリーンウッド』『じゃリン子チエ』でもあったな)、それは各キャラの個性が確立してからやって初めて意味があることだしねえ。これの場合部活のメンバー以外は本編でも初登場っぽいので、メインはハルヒの性格描写とメンバーの対応、というあたりなんだろうが、それが一番駄目ときている。
ようするに、わがまま宇宙人が負けるのがいやとごねるのに別の宇宙人のスーパーパワーで無理矢理勝ちましたっていうだけなんだもの、これ。ラストの負けそうになるところが盛り上がりどころっぽいが、伏線ゼロの瞬間移動で解決されてもねえ
映像的に見所ってのも無いし。
え? みくるのおっぱいぼいんぼいんに萌えろ? 公開セクハラに萌える趣味はないです。女の子はエレガントにお願いします。スタッフの基本的なメンタリティがハルヒと一緒というのはちょっと面白かったけど。間が持たなくなったら色気でごまかせ、という。
だいたい不思議好きがあの変なバットやワープに違和感もたないってのが謎だ。本当に頭がいいのか? 妄想系の精神疾患の人だと、都合の悪いことが見えない聞こえないモードになることってあるようだけど、ハルヒの場合逆だよなあ?
部分的には、キョンがみくるに色気を見せると、ムッとするハルヒ、とか青春物っぽい小芝居はそれなりにうまくいっていたような気がする。でも物理的に人間じゃなく心理的にも人間とかけ離れた生き物の恋愛話ってあんまり面白くないよね。あとこれもやっぱり、過程があっての描写だと思う。
ま、恋愛ものとしてみた場合、極端な話、ハルヒをキョンが振ったらまた世界の危機なわけで、実はキョンがわに選択肢がなさそうなのがちょっとねえ。核弾頭を背中に持っている人間と対等な生活なんて出来ないって。世間ではそれを恐怖政治といいます。
みくるが時間がらみの何か、とか古畑もどきもなにか変な組織(宇宙人?)とかそういう設定の是非は次回以降に保留として。
なお、長門さんが読んでたのは笠井潔の『オイディプス症候群』ですが、あの本は二段組ではないです。わざわざオイディプスを指定したスタッフはそこまで面倒見なさい。