第十四話「理想の果て」

ねえママ、『ここは一体?』『玄関よ』って、どこのボケ老人の漫才?」
「駄目よ、目を合わせちゃ」

 という話である。ちがうか。

 今回はあまり士郎が出張らず、そこはよろしい。赤い人の例の台詞も意外にさりげなかったのもよし。かっこつければつけるほど寒くなる台詞だしね。どんな場面でも常にクールかつ平板がモットーのこのアニメのスタッフのおかげである。
 まあその赤い人ががきらきら輝きながら空中で決めポーズをしたときはもうどうしようかと思ったけど(ぜひ、大亜門にパロってほしいところ)。
 それ以外はというと、なんでアーチャーはイリヤを攻撃しないのか、とか、台詞でほのめかしているとおりの過去(つまり原作準拠ということ)なら、バーサーカーの力量を目の当たりにするのが始めてってことはありえないとか、戦いのクライマックスで月光にアーチャーが照らし出されるとき、雲がきれて光がさしたんじゃなくて、どうみても光源が移動しているのは演出効果ってやつなのか、とか、霊体化して移動すれば奇襲できるのでは(それでも気配が察知されてしまうなら冒頭で霊体化して姿を隠す意味はない)、とか、敵が襲ってくる目の前で槍みたいなのを矢に変えて、弓につがえるってどうよ、とか、あの呪文が『ハルヒ』の第一話みたいに寒い、とか、セイバーがあんなにへろへろなのに回復法を黙ってた凛はぶん殴られそうだな、とか、アニメオリジナル展開から原作準拠の展開までこみで、どうにもアニメだけでは納得いかないことがおおすぎなのであった。よくよく考えてみるとサブタイトルからして、原作未読者放置だなあ。しどい。もう2クール目だって言うのに。
 といって、原作を知っているから、今回の話に納得いくかというとそうでもないわけだけど。オリジナルパートは当然として、原作準拠のところもようするに、原作の流れがそうだから、この展開は動かせない、という駄目駄目な擁護しか出来ないからね。
 ああ、なんて―――頼りがいのない原作。

 シナリオ面以外では、先に書いたアーチャーが弓を構えるシーンなんかが代表格だが、どう考えても流れをのんびりさせるために入れているような繋ぎカットがあるのは、よっぽど盛り上げたくないんだろうな。
 エンディングが変わっていたのは、たいした出番もないまま退場するアーチャーに対するせめてもの手向けなのだろう。まさか、メインキャラの死による悲愴&感動ムードの演出じゃああるまい。もし感動演出のつもりなら、本編ラストのピアノのイントロが入る位置、ぜったい間違ってるって。なんでバーサーカー復活に合わせてはじまるんだよ。イタリアホラー映画によくあるのオチは「じつはまだいるのです」なのに曲だけ意味不明リリカルメロディアスなエンディングのパロディかと思ったぞ。
 そんなこんなで例によって微妙なノリのまま次回に続くのであった。次回「魔力補給」! 
 はたして原作を知らない視聴者のうちで何割ぐらいが頭のなかで凛をぶん殴るでしょうか(これは、原作プレイしたときに、頭のなかで凛をぶん殴った経験からの推測)。