第六話、第七話

連続放送なので四本立て。弟君がめがねを壊す話と変な声のお金持ち(釘宮理恵であることにいまさら気づく――それもクレジットをみて)の家のプールの話とお墓参りの話と縁日の話でした。そしてメインの人々とは関係あるような関係ないような(確か同じクラスではある)三人組の話がそこかしこにちりばめられているという趣向。この終始一貫したテンションの三人組が、極度にまったりだったり延々ハイテンションだったりとふれ幅の激しいぽてたちのエピソードのつなぎになることで、うまい具合に見る側の呼吸を整える役目を果たしていて、とても心地いい時間を作り出している。のんびりだけでも忙しいだけでも、人は同じようにくたびれるのである。
 
 ちょくちょく出てくる映画のタイトルがよい。ひとつひとつは犬神家の一言とかほろろとか十二日の木曜日と代わりとよくあるパロディなのだが、単にタイトルを置き換えるだけでなく、ビジュアルメンでもジェイソンが猫耳になっていたり、一作一作つくってるほうでどんな話であるのか裏設定をしているっぽいのがうれしい。
 三人組の話では、ピザ十回の引っ掛けネタの落としかたなんかはいかにも四コマ漫画的なのだけども、間の撮り方が絶妙。主人公達とはあちこちでニアミスをしているけど、完全に接点を作らないのも心憎い。古来「スープの冷めない距離が理想的です」なんてえことをいいますが、これはその理想を地で言っておりますな。はい。

 些細なところでは、主人公が朗読させられていた『耳なし芳一』の「ホウイチ」のイントネーションがおかしくて最初誰のことかわかりませんでした。あれは「ホ」にアクセントを置いて読むのである。もっとも、そんなことより疑問に思うべきなのは、怨霊が耳をちぎりとる話を授業で教えているということであるかもしれないが。

 縁日の話のエピローグ。冷蔵庫が子宮のなかの音っぽいってのは、主人公の母性への憧れみたいなものが現れたうまい場面だと思うのだが、女性を嬲り殺して腹を切り裂きそこに入り込んで心安らかになる猟奇殺人鬼の話を思い出してしまったのが運のつき。