第五話「出した茶碗は引っ込められない」

じつは副題がつく前のシリーズから、なんとなく流し見してたのですが、淡白な養殖系日常萌え漫画である原作同様、特に語ることのない作品という印象で、加えて、ちゃんと見ていたわけでない(前期は録画もしてなかった)ことも手伝って一度も触れてこなかったのだけども、今回はつい見入ってしまったので、少しばかり感想をば。

 長女が大切にしていたものを壊してしまった次女&三女がそれをごまかすべく右往左往する、という王道の展開に、嘘が嘘を呼んで雪だるま式に事態が大事になるとか、友達の行動が伝言ゲームの常で全部的外れにおわるとか、シチュエーションコメディの教科書に載ってそうなネタをてんこ盛りにしたもので、新味はゼロなのだが、場面から場面へ話を転がすテンポが的確で、結末は見えているのに、楽しくみられる。
 ようするに、ヒッチコックの言う「爆弾はそれが爆発する瞬間より、その上に座っている人を描いたほうが緊張感がある」というサスペンスの基本に忠実なだけ、といってしまうのは簡単だけど、悪事露見後のホラー調の進行なんかは、それまで描かれていた、熊のふじわらが見ていた木枯らし紋次郎パロの夢(失敗に終わる現実との対比ですね)とか降りしきる雨(もちろん、罪悪感の象徴である)とか本筋以外の要素をきちんとコントロールできていたがゆえの盛り上がり、ともいえるから、たかが王道されど王道、なのであった。まあ、あのおねえちゃんはあんなに怖い人だったっけ、とは思わんでもないが。