第三話

思考実験をしてみる。こなたが、『ラブやん』のカズフサや『こみっくパーティー』に出てくる眼鏡の二人組みのどちらかみたいな外見をしていたら、どうであろうか。当然OPのダンスもそれでやる、と。

あ、ダンスは見てみたいかも。あの手の画一的で不気味な動きには、毒をもって毒を制す、の策が意外に有効だったりして。
 
 なんでこんなことを考えたかというと、相変わらず、ろくに落ちもないだべり、オタクの自己正当化のような趣味ネタ、薀蓄ばなしをぎこちなく並べて(話題の移行が強引過ぎでもはやギャグ)の二十分弱だったわけだけど、今回は特にオタクネタが濃すぎて、どうにもこなたが、見た目どおりに見えなくなってしまったのだった。特に、「自分はオタクだしー」と自虐気味に居直るあたりとか。本当は体重が三倍ぐらいあるんじゃないか、とか、階段を十段も昇ると息切れするんじゃないかとか、そもそも本当は男なんでは、とか、まあそういうことである。
 原作からしてそういうものではないかという向きもあるだろうけど、「ほのぼの四コマアニメ」と謳いたいのなら、そういう要素はさくっと削ったって、せめてもっとさりげなく取り扱ってもいいのではなかろうか。深夜に漫画専門店にでも迷い込んだような会話を延々聞かされて「ほのぼの」出来る人はあまりいないと思うのだが。
 
 それにだ、そうやって大々的にやっているマニアネタが、どうにもピンボケなのがまた哀しい。『かってに改蔵』で、「突っ込みたくなる会話をしている人たち」なんて話があったが、それに近いレベルの会話だ。
 たとえば、クロマティ高校の神山は、作中でも、明らかにレベルが下の高校にいる、という設定(というか、それが第一話のギャグのネタだ)なので、それを「変だ」というのは、野暮というより、ただの無知にすぎないし、浮気調査の尾行や迷子の猫探しのような地味な事件をテーマにした探偵ものはないわけではないし、一卵性双生児の性格が同じなんてのは都市伝説でも存在しない――。
あとこれは、突っ込みとはちょっと違うが、前厄を気にする高校生っているんだろうか。

 シュールなのは酔っ払いの話で、最初は(作中の)現実の酔っ払いについて話しているみたいだったのに、気がつくと、アニメや漫画における記号としての酔っ払いについて、になっている。彼女らの世界には、記号表現の酔っ払いが夜の街をうろついているのかしら。

 ポニーテールの話は、武士みたいでかっこいいというのは、それは似合っている、というのではなかろうか。

 あと、三谷ネタ(赤い洗面器の男シリーズ)はいい加減にやめたほうがいいんじゃないだろうか。特に意味もなくギャグのコンセプトをそのまま使うのは、パロとかオマージュというよりは、ただのパクリだ。

 ラッキーチャンネルにいたっては限りなく時間つぶしの埋めぐさでしかなく、あえて見所を探すなら、司会の人を使って露悪趣味に酔っているスタッフの姿勢がもっとも醜いという、渋い自虐趣味ぐらいのものである。