第一話「逃げる女」

 真下耕一監督による、電波な寡黙少女ととても優秀には見えないのになぜか無敵なヒーローのコンビの活躍を描いた、ちょいと(いやかなり?)勘違い気味なバディムーヴィー風ヘナチョコスタイリッシュアクション『ノワール』『アヴェンジャー』『マドラックス』に続く作品。

原点回帰という意味でもあるのか、キャラクターデザインが、ノワール菊地洋子に戻っている(最初はなんとなく只野和子だと思ってた)

ただし、円環を一蹴して、過去三作の尖った(壊れた、という)部分を継承して暴走するのではなく、過去の三作のどれよりも無難かつ手堅く身を固めて安全ルートをいっている感じがある。
 伊藤静キャラ(グレンラガンのヨーコといい、こういう半裸スタイルが今ひそかなブーム?)が、かっこつけているわりに間が抜けているのは「シリーズ」定番ではあるけど、性格的に間が抜けていても違和感がないし、いつも失笑の種となる、スタイリッシュふうの台詞や展開も控えめだ。梶原由由記の曲も流れすぎない。
普段なら、大げさにかっこつけて描きそう(そしてしくじりそう)な、賞金稼ぎを倒すと、その後ろからまた賞金稼ぎが、などといった間抜けな展開を、なんの工夫もない画面構成ともったりとしたテンポで描くあたり、ギャグと自覚しているか、そのように取られても平気という安全策をとっているかどちらかであると思う。
どちらにせよ、この人の作品を見ていて大抵感じるもどかしさ――旦那芸を見せられて辟易する感じでしょうか――を感じないで、菊地キャラを眺めてすごせるのは、ありがたいことである。
 
 にしても、やたらとメインキャラっぽいのが出てきたが、あれを全部動かして話を進められるのだろうか?