第二十二話「原初への帰還」

 原初への帰還どころか、行ってはならない地帯へ到達してしまった感がある第二十二話。
 ドイツとか銀のマリーとかビアトリスの秘密とか、視聴者だけでなく、作中のメインキャラの大半がどうでもいいと思っている事柄で話を引っ張れると思っているのがまず間違いであるわけなのである。これでたとえば、絢子がもっと探求精神旺盛なキャラで、自分のビアトリスについてずっと研究していたとか、護が自分のパワーアップのためにビアトリスについてよく知りたいと思っているとか、そういう話がずっとあったうえでのドイツ行きとか「ビアトリスの原初への帰還」とかであるならば、それなりに盛り上がったのではないかと思うけど、どう見たって絢子の一番は護だし、護の一番は絢子であるのは明白で、ビアトリスなんてお味噌でしかない以上、SF的な展開はお門違いにならざるをえないのだった。
 これでお話が丁寧に作られていたならばまだ見られたと思うのだが、これがまた意味不明なので、どうにも困ったものである。たとえば、銀のマリーがここにきて、なにをしたいのはまったくわけがわからない。今回の護とのやりとりが「真相」であるならば、じつはヨハンたちよりまともだった、ということになるのだが、南の島でのどう見てもただの嫌がらせでしかないトラップや迎えの車の破壊工作とか、謎の足止め工作やら、護をさらったり絢子のビアトリスを封じたりすることが、やめさせたいはずの研究の追い風にしかなってなかったり(絢子の積極的な協力を引き出してしまっている)とか、どう考えてもまともではないのだった。うーむ、ひょっとすると、マリーとヨハンとはグルなのか? まあそれでは絢子のおじさんだかなんだかが誰も見ていないところで一人芝居をしていたことになるが……。
 とまれ、なんだかしょぼい竜みたいのが出てきて次回に続くのだった。作り手的には「刮目して待て!」というところなのだろう。こちらとしてはかのジャズの巨人の口真似をして「So what?」とでもいいたいところである。