第九話「あにいもうと」

バトルオブブラコン、その兄はロリコン

セーラの正体をめぐる艦内の情報漏洩があまりに早すぎて、ひょっとすると内部擾乱を狙った工作員でもいるのではないかと疑いたくなるが、やりたいシチュエーション――セーラの再度の、そしてより深刻な孤立――のためには手段を選ばない(というかろくに段階を踏まない)シナリオはこのシリーズでは珍しくないので、いまさら言ってもしょうがないところかな。

青少年パートはいざ知らず、おっさんたちだけのパートになるとにわかにおままごとテイストになる気がするのは気のせいだろうか? 渋い役者がそろっているのだが、言動が妙に幼い。ええとあれです、映画『亡国のイージス』みたいな感じ。いや、台詞回しはあれよりましか。

お兄さんは、前回でその片鱗が見えていたけど、やはりやむにやまれぬ理由があって悪に与しているパターンでございました。しかも「いつの時代のメロドラマだよ!」とテレビ画面の前のすべての人間が突っ込んだであろう「血を吐いて余命の少なさを暗示する」演出のオマケつき。まあ、もともと、いつの時代のメロドラマだよ、という話だったし、ライトでチープなスペースオペラ感覚は初期からあったので、あまり腹は立たないけれど、しかしこれで兄が「すまなかった」とかいいながら死ぬ展開だったら、さすがにギャグになってしまうと思う。
今回の最大の見せ場、ロッティ対セーラは、演出はそれほどでもなかったが、ゆかな川澄両者の熱演で緊迫感のあるシーンに仕上がった。激昂しつつも完全に理性が吹っ飛んだわけではないロッティと抑えつつも感情がこぼれるセーラ。対話の結果は、和解とはいわないまでも、ロッティの敵意が薄らぐことになるのは、あらかじめわかっているようなものだが、つい見入ってしまった。ふと時計を見たら、あれ、もう放送時間が尽きている、みたいな。
 
次回、未来で起きた事件? タキオン? 時間的無限大?