第十話

第十一区画をめぐる小競り合いの中盤戦のまとめ。

見せ場は、ゼルマン対カサンドラ、セイ対ザザの二本立て。リッチである。

ゼルマンのほうは、たぶんカサンドラより強そうなのに、しとめ切れなかったのは、長命者ならではの気の長さと、優位にあることからくる余裕と慢心、そして好奇心に起因しているんだろうが、そのあたりはもう少し描写面で見せてほしかった気がする。このままでも無能には見えないが、エルダーのならでは行動様式や特異性を見せ付けるいい機会だったと思うのだが。

セイのほうは、気迫プレスで圧倒するだけで、その後見せ所ゼロなのがなんとも。転生後で直接戦闘に向いていないとかそういう話でもあるんだろうけど。
まあこちらの戦いに問題点は、まだまだ真の力を見せる機会があるはずセイのほうにではなく、肉体が死んでもまた別のところに飛び移るという、ザザの能力にあるだろう。「強敵」感は十分だが、『NARUTO』の「実は替え玉」展開みたいに、やりすぎるとご都合臭がきつくなりすぎ、かつ退場させるのが面倒――後出しで転移不可能条件を出していかないとどうにもならない、という物語を進行させるのに便利であると同時に作品破壊の要因ともなりえる、諸刃の剣的な設定だからである。

そういえば電話越しに本物のウォンと会話したミミコさんが、今目の前にこの女は誰、ということにおののくシーンは、いにしえの海洋ホラー映画チックでよかった。具体的には『魔のバミューダ・トライアングル』みたいで。

主人公は今回もぴょこぴょこ飛んでるだけでしたね。